14:30 - 16:00
タイトル | 動き始めた民間セクターによる適応への貢献 |
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イベント概要 | パリ協定の採択以降、気候変動対策における公共セクターと民間セクターの連携が重要視され、また多くの民間企業が自社の環境目標を公表し始めています。しかしながら、クリーンエネルギー利用等の緩和における目標と比べて、民間セクターの気候変動の適応への取り組みについてはほとんど注目されていないのが現状です。本イベントでは、持続可能な開発目標(SDGs)や仙台防災枠組を踏まえ、脆弱性の高い途上国の適応ニーズを紹介し、多国籍企業や新興企業によって実施されている、社会に影響を与える革新的な適応ビジネスの展開事例が、適応ニーズにどのように対応しているかをショーケースします。またユニークな資金調達戦略を提示し、民間セクターの参入拡大により適応に貢献する方法について活発な議論を展開します。 |
キーワード | 適応、民間セクター、ファイナンス、SDGs |
登壇者 |
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主催者 |
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開会挨拶(5分):
動き始めた民間セクターによる適応への貢献
講演(60分、各10分×6件):
途上国における適応ニーズと民間セクターとの連携の可能性
気候変動への適応:UNIDOの経験から
適応における化学工業セクターの経験の共有
ICTの力:富士通の気候変動適応へのアプローチ
民間セクターの適応ファイナンス
適応ビジネスの推進
質疑応答とディスカッション(25分):
冒頭、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の吉高まり主任研究員より、開会の挨拶と共に、経済産業省の支援のもと、2000社以上の日本企業を対象に企業による途上国での適応活動を調査した結果、途上国のニーズにマッチする技術やサービスが数多く抽出され適応グッドプラクティス事例集を作成したこと、また当イベントにおける意見交換を経て更なる適応ビジネスの普及推進による事業推進を図りたいとの発言があった。
国際気候変動及び開発センターSaleemul Huq所長より、バングラデシュの塩害対策を事例とし、適応への貢献と地元の農民等の両方の利益を図る重要性について見解が示された。
UNIDOの西尾なほみコンサルタントより、UNIDOが、日本政府の支援のもとアフリカ諸国で展開している低炭素・気候レジリエント産業開発プログラムの紹介があり、地域産業における生産性の向上と共に強靭化を、技術を通して達成する取り組みに関する説明がなされた。
住友化学の村上仁一主幹より、マラリヤの予防に大きく貢献しているWHO認証の防虫剤処理蚊帳を始め、食糧の安定供給に貢献するバイオラショナル製品の紹介があり、住友化学のSDGsの達成を含む社会貢献を軸としたビジネス展開へのコミットが示された。
富士通の山崎誠也部長より、同社の地球環境問題への取り組み、ICT技術を通じた適応への貢献、また途上国における低価格で効果的なソリューションの展開事例が紹介された。
グローバル適応および強靭化インベストメントワーキンググループ(GARI)のJay Koh氏より、これまで様々な分野に分散している資金を、適応及びレジリエンス向け集中させるファンド設立計画の紹介があった。同ファンドは、既にGlobal Environment FacilityやNordic Development Fundの出資表明を受けているとの発表があった。
経済産業省地球環境連携室田村係長より、民間セクターが適応への貢献を最大化するにあたり、同省は、FSを通じた案件組成支援、国内での適応活動の認知向上等に取り組んでいるとの説明があった。今後は特にビジネスマッチングに取り組んでいきたい旨、発言があった。
ディスカッション・質疑応答セッションにおいては、まず、Huq氏より、まずは現場を知ることが重要であり、様々な企業にバングラデシュに来て現状を学んでほしいとのコメントがあった。
次にバングラデシュの参加者から、海水の淡水化や水の浄化が課題であるが、安価なエネルギーコスト及び機器コストでの提供が可能かという質問があり、住友化学の村上氏より、課題は十分に認識されており、化学産業全体として取り組んでいるとの回答があった。更に富士通の山崎氏に対して、ICT技術の運用においては教育や訓練を通して途上国の人材の能力向上を図ることにより更に低価格化が可能なのではないかとの提言があり、山崎氏から考え方の方向性としては一致するとの発言があった。
また、セネガルの参加者から、UNIDOの取り組みは適応とともに生産性の向上と省エネを図るものであり、より多くアウトプットをより少ないインプット(Do more with less)で可能とする画期的な取り組みであるとのコメントがあった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 新地菊子
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