イベントスケジュール

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High-Level Week

14:15 - 15:30

タイトル

再生可能エネルギーの森林保全・REDD+への貢献

イベント概要

2016年にパリ協定が発効し、森林を持つ途上国の多くはREDD+を含むGHG排出削減をNDCに含める計画をすすめている。サブサハラアフリカの多くの国においては、8から9割のエネルギー源を薪炭材に頼っていることが森林減少の主原因となっており、またこれらの国における主要なGHG排出源となっている。これは、急速な森林減少により生物多様性や生態系に影響を及ぼしたり、室内での薪炭利用は呼吸器系の病気を引き起こしたり、またより遠くへの薪集めは女性・子供の労働強化につながるといったの問題を起こすなど、環境のみならず健康、貧困の問題と直結している。

このサイドイベントでは、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)による農林水産廃棄物などを利用した森林減少の抑制に資するバイオエネルギー生産技術の紹介をはじめとし、薪炭の使用を抑える改良かまどやバイオガスなどの農村における様々な取り組み、再生可能エネルギーの導入による森林減少・劣化防止策によるREDD+のGIS分析やプロジェクトの紹介、持続可能なマングローブ林経営によるバイオエネルギー生産、電子マネーを取り入れた産業レベルのバイオエネルギー開発など、アフリカ・アジアにおける開発機関、NGO、民間企業、研究機関の森林減少抑制・再生に資するエネルギー供給の推進に寄与する新たな取り組みを紹介する。

キーワード

再生可能エネルギー、REDD+、バイオエネルギー、森林保全、生物多様性保全

登壇者
  • ドルフ・ギレン(IRENA革新的エネルギーセンター所長)
  • ジョアキム・マクアクア(モザンビーク土地・環境・地域開発省/アムステルダム大学)
  • アンドレアス・シュリーンベーカー(ProREDDプログラム, トーゴGIZ)
  • ロバンス・オウス・タキィ(ガーナISEES)
  • ファイルス・ムリア(インドネシア森林開発コンセッション協会/マングローブ研究開発機関)
  • 合田真(日本植物燃料)
  • 井上泰子(JIRCAS/IRENA)
主催者
  • 国際農林水産業研究センター
  • 国際再生可能エネルギー機関
最終プログラム

Opening remarks
バイオエネルギーの持続性の重要性と再生可能エネルギーによる解決策

  • Mr. Michael Taylor IRENAシニアプログラムオフィサー

Panel 1
モザンビークにおける再生可能エネルギーの果たしうる役割のポテンシャルについてのGIS分析

  • Mr. Joaquim Macuacua モザンビーク土地・環境・農村開発省森林局マッピング及びデータベース課長/アムステルダム大学院生

Panel 2
トーゴにおけるREDD+準備及び森林再生プロジェクト

  • Mr. SAMAROU Moussa トーゴ環境森林資源省森林資源局森林認証及びモニタリング課長兼データマネージメントユニット長

Panel 3
ガーナにおける様々なバイオガス・改良かまどの普及の取り組み

  • Mr. Lovans Owusu- Takyi Institute for Sustainable Energy and Environmental Solutions (ISEES) 所長

Panel 4
全ての人々のための情報プラットフォーム;モザンビーク北部におけるコミュニティベースのジャトロファエネルギープロジェクトと電子マネーシステム

  • 合田真 日本植物燃料株式会社代表取締役

Panel 5
持続可能なバイオエネルギーのたえの持続的マングローブ森林経営

  • Mr. Fairus Mulia, IPM. インドネシア森林開発コンセッション協会理事/マングローブ研究開発機関シニアアドバイザー

Panel 6
農産・加工残渣からのエネルギー開発のためのR&D

  • 井上泰子 JIRCAS研究コーディネーター及びIRENAバイオエネルギー分析官

セッションサマリー

このサイドイベントは、IRENAのMichael Taylor氏による、開会の辞によりはじめられました。彼によれば、世界の多くの地域における木質バイオマスエネルギーによる森林減少やそれによる環境・人々の生活への影響が人口増加や気候変動により深刻化している傾向にあり、パリ協定に位置づけられた森林による温室効果ガス吸収・貯蔵の機能を発揮するためにもIRENAはその様々なツールの活用により、適切な再生可能エネルギーへの転換による森林保全・REDD+活動への支援に貢献できると述べました。モザンビーク土地・環境・農村開発省のJoaquim Macuacua氏はGISを使った分析により、再生可能エネルギーがどのようにREDD+活動として有効かモザンビークの事例について報告しました。Mousa Samarou氏はトーゴにおけるGIZとのREDD+プロジェクトについて、薪炭生産による森林減少といったドライバーへの対処の重要性を含めその活動を紹介しました。ガーナのNGO、ISEEのLovans Owusu-Takyi氏は、様々な改良かまどやバイオガスなどの普及の取り組みについて紹介しました。日本植物燃料株式会社の合田真氏は、モザンビーク北部における、住民の農業生産の妨げとならない柵植えによるジャトロファ種子買い上げ事業を発端に、電子マネーの導入など農村金融・経済改革に成功してきており、その情報プラットフォームが住民や支援の手段として有効に生かされている取り組みを紹介しました。インドネシアのFairus Mulia氏は、マングローブ炭生産でFSC認証を取得しており、地域社会の発展や生物多様性の保全などに長年の持続可能な森林経営により貢献してきていることを紹介しました。最後に、IRENA・JIRCASの井上泰子氏は、森林を含めた環境や住民の生活・食料安全保障にネガティブな影響を与えないようなバイオエネルギー技術開発における研究開発の役割の重要性について述べ、JIRCASがナイジェリア大学やIHI環境エンジニアリング社といったパートナーと共同し開発した様々な技術が実証段階にあることについて発表し、官・民・研究機関・NGOの効果的な連携の重要性について言及ました。


キーメッセージ
  • バイオエネルギーは、これまで多くの国で森林減少・劣化の大きな一因となってきたが、地域で入手可能で安価、かつ、食料安全保障にネガティブな影響を及ぼさない加工残渣の利用などを含めた代替・再生可能エネルギーの導入により、解決策を検討することが可能である。
  • こうした解決策の提案には、GISベースの分析や、R&D、NGOによる草の根の取り組み、ODAによる政府へのキャパシティビルディング支援、FSCなどの認証制度の取得や民間事業体による農村金融・経済の仕組みの改革など、様々な有効な取り組みが各地で取り組まれており、グッドプラクティスの共有などを進めるべきである。
  • 「再生可能エネルギーと森林パートナーシップ」といったフォーラムを作り、情報交換の受け皿とすることも有効と考えられる。

報告者所属・名前

国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター 井上泰子


写真

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