最終プログラム
パリ協定の下での持続可能な気候変動対応に向けて
概要説明(5分)
- Raymond Kopp:米国未来資源研究所(RFF) 副社長、シニアフェロー、エネルギー気候プログラム
講演1(15分)
- 秋元圭吾:地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループリーダー・主席研究員
講演2(10分)
- Carlo Carraro:ベニス大学教授、エニ・エンリコ・マッティ財団(FEEM)科学ディレクター
講演3(10分)
- Antonio Navarra:欧州地中海気候変動センター(CMCC) 社長
講演4(15分)
Q&A(20分)
セッションサマリー
- RFFのKopp氏による本セッションの概要紹介の後、各スピーカよりプレゼンテーションを行い、最後にディスカッション(QA)を実施した。
- 秋元氏は、パリ合意に含まれるNDCと長期目標を評価するためのRITEの研究を紹介した。NDCの野心は、まだ定義されていないプレッジ・アンド・レビューのプロセスを通じて行われるため、本研究ではNDCの努力水準を測定し、比較するためのツールを示した。長期目標に関しては、明示的な炭素価格の高さよりも現実的な措置で2℃目標を達成するための社会技術イノベーションの重要性を主張した。
- Carlo Carraro氏は、NDCsが持続可能な発展目標(SDGs)の実施にどのように影響するかについてFEEMの研究を発表し、全体的に正の影響を示す結果であることを報告した。
- Antonio Navarra氏は、気候政策の根底にある科学に関して講演した。彼はモデルの歴史と進化を示し、気候変動に関する各分野のモデルが統合されてきた状況を明らかにした。
- 手塚宏之氏は、経団連の自主行動計画とNDCの提出プロセスが共通していることを紹介した。
- 各スピーカのプレゼン後、コメントや質問を受けた。
コメントとして、このような分析が締約国の努力を調整する上で有用であること、そして将来の政策プロセスのシナリオをシミュレートするためにパリ合意そのものをモデル化することがいかに興味深いか、また、Carlo Carraro氏のプレゼンテーションに対して、どのような係数(気候感度など)がどのように排出パスに影響するかを探ってはどうかとの具体的なコメントがあった。
Navarra氏に対しては、グリーンテクノロジーを可能な限り完全に技術移転する(インストール後の保守だけでなく、施設構築も含めて)にはどうすればよいか、との質問があった。Navarra氏は、結果をモデル化する健全な方法は、関連する地域の実際の温度変化に焦点を当てることであると答えた。
また、手塚氏に対しては、産業・セクター間の調整がまだ日本と同様に行われている途上国において、自主行動計画のようなものをどのように実施するか質問があった。手塚氏からは、経団連がASEAN諸国との連携を引き起こし、特に排出量の算定方法と透明性を共有すると回答した。
キーメッセージ
このセッションでは、気候モデル、気候政策の評価・設計、気候政策その他の持続可能な開発目標といったパリ協定の目標を達成するために、いくつかのレベルでのモデルの統合の必要性を強調した。モデルの統合の成果は科学の面では現れているが、政策設計・実施の面では目標達成のために著しい社会イノベーションが必要である。
報告者所属・名前
地球環境産業技術研究機構(RITE)金星春夫、Bianka Shoai-Tehrani
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