東南アジアにおけるNDCの実施と準備に向けて‐能力強化と域内相互協力の役割-
主催者
- JICA
- TGO(タイ温室効果ガス管理機構)
- OECC
- IGES
イベント概要
登壇者
- 武内 和彦 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長
- クルジット ナコンタップ タイ温室効果ガス管理機構(TGO) 理事長
- 村上 裕道 国際協力機構(JICA) 地球環境部 審議役
- 福田 幸司 国際協力機構(JICA) チーフアドバイザー 技プロ「東南アジア地域低炭素・レジリエントな社会構築推進能力向上プロジェクト」 プレゼン資料(PDF, 628KB)
- ジャカニット カナヌラック タイ温室効果ガス管理機構(TGO) 能力開発・啓発局ディレクター
- ナタリカ ニティポン タイ温室効果ガス管理機構(TGO) 局次長 プレゼン資料(PDF, 1.6MB)
- 川西 正人 国際協力機構(JICA) 国際協力専門員
- パンカジ バティア 世界資源研究所(WRI) 気候プログラム副ディレクター
- 加藤 真 海外環境協力センター(OECC) 主席研究員
配布資料
セッションサマリー
本セッションでは条約締約国がパリ合意の実施フェーズへ移行する中、東南アジアに焦点を充てどのように実施能力の強化に繋げるかを主要関係者(TGO, JICA, WRI, IGES, OECC)を招き討議した。冒頭、武内IGES理事長より開会挨拶、クルジットTGO理事長より基調発言が行われ、東南アジアにおける実施能力強化のニーズは高く、TGOが運営する東南アジアを対象とした気候変動国際技術研修センター(CITC)を含めた機会の活用と相互協力への期待が述べられた。続いて福田JICA長期専門家より、本イベントの獲得目標、実施能力の具体的な構成要素、能力強化支援のグローバルな全体像が示された後、パネル討議へ移行。討議はTGO-JICA共同ファシリテーションの下で行われ、先ずニティポンTGO局次長から東南アジアにおける実施能力強化の推進母体としてのCITCの役割と実績について紹介がなされた。その後の討議では1)実施能力強化の主体、2)能力強化を媒体する国際支援・相互連携のあり方、3)研修・能力強化の結果の応用、を中心に活発な意見交換が行われた。
その他残したいメッセージやイベントにおける成果
パネル討議における主要発言とメッセージ。
- 能力強化は、先ずニーズの把握と評価が重要。その枠組みは国家から域内協力へ、地域間協力へと発展的に展開することが理想的。実施能力の向上は対象セクターがより重要な役割を果たすが、他方で国家窓口機関も国内努力の全体進捗管理と成果取り纏めの役割が残り、両者のニーズが異なる。能力強化の具体的な設計に際しては、集中と選択を含めたニーズへの対応に工夫が求められる。(JICA)
- TGOは南南協力を重視しており、ベトナム・ラオスを対象とする既存の協力枠組では、先ずは両国間の政策協議を通じた理解醸成を図ったうえで、実施に関連深い個別テーマ(例:MRV, NDC)を選定し具体的な制度設計と運用の実際について相互学習を図る段階的なアプローチを展開。(TGO)
- 能力強化に向けた域内協力はそれ自体に価値が見出せる。特に東南アジアでは多様性の中でも各国がお互いの背景事情・コンテクストへの理解が進んでおり、この相互理解に基づいて域内の能力強化が機能する。(JICA)
- NDCPでも対象国に対するNDC実施支援を展開。エビデンスベースの数値目標の策定支援、GHGプロトコルを通じたMRV能力強化等を展開。NDC実施への民間の関与は不可欠。(WRI)
- 能力強化の評価は対象とする階層(国、地方、個人)によっても範囲・手法は変わりうるなど、容易ではない。ただし現状の能力強化の評価は投入(研修受入人数等の単純なinput)・プロセスベースのものが主流であり、決して能力の強化を正しく測るには十分ではない。今後は、能力強化の評価の軸を成果(output)ベースに移し、方法論を確立していかなければならない。(JICA, OECC)