脱炭素化時代の都市と地域:SDGsのローカライゼーションと都市と地域における環境・社会・経済のあり方-地域循環共生圏
主催者
- 環境省
- イクレイ-持続可能な都市と地域をめざす自治体協議会
イベント概要
2015年にパリ協定が締結されてから3年が経過し、世界各地において脱炭素化へ向けた取組が進められている。気候変動が及ぼす課題の最前線に立つ都市や地域は、新しい文明社会へと移行するために、経済と社会を抜本的に変える必要性を認識している。他方、持続可能な開発目標(SDGs)は世界的に認知されるに至り、地方レベルでの持続可能性の議論活性化に寄与している。SDGsの原則や目標・指標を用いることで、地方自治体は自らの地域の持続可能性をより長期的な視点で捉え直すことができる。すなわち、SDGsは都市や地域へ、環境、社会、経済をより包括的に捉えて政策を見直し向上させるきっかけを与えている。
これらの認識を踏まえ、都市や地域にとって、低炭素社会、資源循環、自然共生を統合的に捉えた政策を検討・実施することが、持続可能な社会の実現に向けてより一層重要な要素となりつつある。
本サイドイベントでは、都市や地域におけるSDGのローカライゼーションの過程において、低炭素社会、資源循環、自然共生を統合的に捉えた政策アプローチが重要であるという点を議論する。また、都市と地域における関連政策や活動を紹介するとともに、ネットワークを通じて経験を共有することの重要性を再確認する。
登壇者
- ジノ・ヴァン・ベギン イクレイ世界事務局 事務局長
- 高橋 康夫 日本国環境省 地球環境審議官
- スワヴォミル・マズーレク ポーランド環境省 次官
- 武内 和彦 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 (IGES) 理事長 プレゼン資料 (PDF, 544KB)
- アショク・シドラハン ドイツ・ボン市 市長、イクレイ会長
- 中島 恵理 長野県 副知事 プレゼン資料 (PDF, 779KB)
- 坂本 健 板橋区 区長 プレゼン資料 (PDF, 920KB)
- 小林 一美 横浜市 副市長 プレゼン資料 (PDF, 1.1MB)
- リスト・ヴェイボ フィンランド・トゥルク市 気候・環境政策・持続可能な開発マネージャー プレゼン資料 (PDF, 719KB)
- マーリン・ラオ イクレイ東アジア事務局 プログラム・マネージャー
セッションサマリー
イクレイ事務局長のモデレートにより、国や地方自治体の政策決定者が集まり、都市や地域がいかにしてSDGsをローカライズし、脱炭素で資源効率や生態学的バランスがとれた政策を進めることができるか議論を行った。セッションの冒頭に、中央環境審議会長として携わってきたIGES武内理事長から、日本の第五次環境基本計画における「地域循環共生圏」の概念が紹介された。また、統合的な政策アプローチによる都市や地域の取組事例として、登壇自治体から、循環型社会を目指す具体的施策の共有と今後の計画が紹介された。
登壇都市の発表を通じて、地域循環共生圏のアプローチをとることにより、都市や地方は自然資源によって再び結びつき、物質やエネルギーの自立を進められる点が強調された。さらに、日本のみならず海外都市の観点からも有益な政策アプローチであり、今後さらに多くの国や地域の政策立案に適用できる概念である可能性を示した。 2029年までにカーボンニュートラル、そしてリソース・ワイズ都市を目指すフィンランドのトゥルク市は、イクレイのような世界的な自治体ネットワークを通じて、地域循環共生圏を実現するための国際協力と情報交換に強い関心を表明した。
その他残したいメッセージやイベントにおける成果
イクレイは都市からの強い支援を得て、グリーン循環都市連合(GCCC)を発足し、循環型都市に関する都市間連携を促進している。 同連合は、マルチレベルのガバナンスと国際協力を通じて、循環型都市、そして地域循環共生圏のビジョンの実現に貢献するものであり、今回改めてその重要性が確認できた。来年、G20をはじめ、重要な国際交渉が数多く予定されている中、地域循環共生圏の考え方を更に広め、持続可能な都市と地域の実現に向け更なるインパクトを目指した都市間連携やステークホルダーとのパートナーシップを進めていく。