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15:15-16:45

全球炭素モニタリング – モデル、予測、政策決定に向けて

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、環境省、国立研究開発法人 国立環境研究所(NIES)、NASA

イベント概要

気候変動を予測しその対策を講じる上では、現状の把握が不可欠であり、衛星による地球規模での大気中の炭素観測が極めて有効である。JAXAは、NIES、環境省とともに全球における炭素吸収排出量推定を目的として開発した温室効果ガス観測衛星GOSATを運用しており、温室効果ガス濃度の全球の季節変動や年々変動を明らかにした。平成26年12月には、GOSATによる世界の大都市上空の人為起源CO2濃度とインベントリから推定した人為起源CO2濃度との間には相関関係があることを公表するなど、人為起源排出量の検証に利用できる可能性も示した。こうしたGOSATの成果を踏まえ、現在開発中のGOSAT-2では大都市周辺や工場などの大規模排出源からの温室効果ガス排出量監視を目指している。また、米国の観測衛星OCO-2との連携により、日米の優れた技術を発展させ、更なる世界の地球温暖化対策に貢献することが期待されている。

本イベントでは、日米の衛星による温室効果ガスモニタリングや、観測データとモデルの組合せによる将来の気候変動予測等について、最新動向と今後の地球温暖化対策への貢献について紹介する。

  • 報告1:炭素観測の現在と将来計画(環境省、NIES、JAXA、NASA)
  • 報告2:炭素観測データを活用した気候変動予測(JAMSTEC)

プログラム

  1. 日本における環境政策決定のための炭素モニタリング戦略
    竹本明男 環境省 地球環境局 総務課 研究調査室長(日本)
  2. 日本における宇宙からの温室効果ガスモニタリングプロジェクト
    塩見慶 宇宙航空研究開発機構 地球環境観測センター(日本)
  3. NASAにおける地球の炭素循環研究:観測からプロダクトまで
    Dr. Jack Kaye, Associate Director for Research, Earth Science Division 航空宇宙局(米国)
  4. 温室効果ガス観測の炭素フラックスモデリングへの活用
    齊藤誠 国立環境研究所 地球環境研究センター 研究員(日本)
  5. 炭素循環を考慮した気候変動の予測:地球システムモデル
    羽島知洋 海洋研究開発機構 統合的気候変動予測研究分野 技術研究員 (日本)
  6. 質疑応答

セッションサマリー

本サイドイベントでは、衛星や航空機による温室効果ガスの観測と、将来の気候変動の予測に関する現状について報告と議論が行われた。

日本のGOSAT衛星はCO2とCH4を全球かつ高精度で観測しており、CO2の月平均濃度は2009年から徐々に上昇し、2016年には400ppmを超えると思われる。このような観測を継続するため、GOSAT-2が2018年初期に打ち上げられる予定で開発されている。NASAはOCO-2衛星による観測の他、航空機による観測も数多く実施しており、そのデータと地上観測のデータを統合して包括的な炭素フラックスの観測を行っている。これらの衛星は今後も互いに協力し、全球の温室効果ガスの観測を続けていく。

温暖化の影響で台風などの極端現象が増え、かつ強くなっており、こういった影響の理解に衛星による観測データが貢献している。また、将来の気候変動予測については、気候と炭素の相互作用について理解する必要があり、そのために地球システムモデルが開発されている。モデルによるシミュレーション結果は観測データと比較・検証されており、今回紹介されたモデルでは温暖化が過剰評価される傾向があった。

このような科学的データを政策に結びつけることの重要性について議論が行われ、科学者と政策決定者とのコミュニケーションの重要性が確認された。

キーメッセージ

今後、炭素の吸収排出量をよりよく理解するためには、現在の観測衛星の精度を向上させ、国レベルから地域レベルで温室効果ガスの濃度を調べる必要があり、そのために新しい衛星が開発されている。将来的には、各国が報告する温室効果ガスのインベントリの精度向上に貢献し、国だけでなく企業の排出削減の努力の結果を評価できる可能性がある。

さらに、観測データを政策決定にどう繋げていくかが重要であり、科学と政策との間の壁を取り払い、双方がギャップを埋めるよう努力すべきである。そのためにも科学者は、複数の衛星を組み合わせてできるだけ正しい情報を作り出し、利用者と十分なコミュニケーションを取ることが重要である。

イベント風景

報告者