途上国における適応分野の日本の貢献について
株式会社 野村総合研究所、経済産業省
イベント概要
適応分野における経済産業省の取組み概要を紹介する。特に2012年から2015年まで実施された気候変動適応効果可視化事業における各企業の適応技術移転の取組みについて概説する。
プログラム
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- 御挨拶
- 長田稔秋 経済産業省 産業技術環境局 地球環境連携室
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- 途上国における適応分野の日本の貢献について
- 吉本翔生 NRI グローバルインフラコンサルティング部
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- 質疑応答
セッションサマリー
はじめに、長田室長補佐(経済産業省)が、経済産業省の適応FS支援事業(気候変動適応効果可視化事業)について、事業の背景および目的について説明した。
プレゼンテーションにおいては、吉本(NRI)が、2012年~2015年までの適応FS支援事業について説明した。内容としては主に以下の4点から構成される。
- 適応分野の援助総額と日本の実績について
- 日本政府の適応計画における国際貢献について
- 事業の全体像と各ステップの事業内容の紹介
- 平成27年度の具体案件の紹介(2件)
1、適応分野の援助総額と日本の実績については、2014年のOECD DAC Statisticsを示し、日本の適応関連援助額を示し、国際貢献額が諸先進国に比べて突出していることを示した。
2、日本政府の適応計画における国際貢献については、日本の適応計画の国際貢献にかかる部分を抜粋し、経産省の事業が適応計画に沿ったものであることを示すと同時に、今後もこれを根拠に事業を拡大していく決意を述べた。
3、事業のステップと各ステップの詳細事業内容については、経済産業省の適応FS支援事業の全体像(各FSの支援→適応ビジネスの一般モデル化→他セクターへの拡大)を示し、現在実施している各事業者のFSの全体像における意味づけを説明した。
4、平成27年度の具体案件の紹介(2件)については、平成27年度に実施しているFSの中から2件、具体的な事業の紹介を行う事で、プロジェクトの中身の詳細について理解を深めた。
質疑応答においては、韓国環境省下の韓国環境研究所(適応センター)から、国連を巻き込んだ形での事業展開(例えばCTCNのTNAと連動するなど)がなされているか、本事業をどのように政府の全体政策(適応計画)の中で位置づけているのか等の質問がなされた。また、アフリカのNGOからは、適応分野における太陽熱活用の可能性について質問があった。
特に、韓国環境研究所から自国での適応政策の主流化において、参考となる取り組みとの評価がなされた。
キーメッセージ
適応に際して技術移転・資金支援のニーズが増えている一方、先進国が供出可能な公的資金は無尽蔵ではなく、圧倒的な資金不足が指摘されている。公的資金拠出における継続的な努力に加え、民間のノウハウや資金を拡充させる事が重要であり、経済産業省では、適応産業を育成し、ビジネスを通して適応課題を解決できる仕組み作りのために気候変動適応効果可視化事業を推進していく。
イベント風景
報告者
野村総合研究所 吉本翔生