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Science to Action

10:30 - 12:00

タイトル

アジアの大気汚染と気候変動統合政策

イベント概要

大気汚染と気候変動の統合的対策を講ずることで、アジアにおけるこの二つの環境問題を同時に解決できる可能性がある。世界の研究者や国際機関は、各国政府に対しこの統合アプローチを取り問題の改善に取り組むよう呼びかけてきた。すでに幾つかの国でこれに応える政策を実施し始めているものの、政策決定者には更に取りうる多くの可能性がある。このセッションでは、アジアの政策決定において大気汚染と気候変動の統合に何が必要であるかを議論する。

キーワード

気候変動、大気汚染、コベネフィットアプローチ、SDGs

登壇者
  • エリック・ザスマン 公益財団法人 地球環境戦略研究機関
  • ネイサン・ボルグフォード・パーネル 短寿命気候汚染物質削減のための国際パートナーシップ
  • バスカール・カルキ 国際総合山岳開発センター 
  • 石川 智子  公益財団法人 地球環境戦略研究機関
主催者
  • 地球環境戦略研究機関(IGES)
最終プログラム

アジアの大気汚染と気候変動統合政策 講演(各15分×5件)

  • エリック・ザスマン 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 (日本)
    「アジアの大気汚染と気候変動統合政策」
  • 石川 智子 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 (日本)
    「気候変動対策とSDGsの統合」
  • ネイサン・ボルグフォード・パーネル 短寿命気候汚染物質削減のための国際パートナーシップ (フランス)
    「CCACのアジア支援活動」
  • エリサ・ランジ 経済協力開発機構
    「大気汚染と気候変動対策の合同経済効果」
  • バスカール・カルキ 国際総合山岳開発センター (ネパール)
    「アジアにおける持続可能な森林管理と大気汚染政策」
  • 質疑応答 (10分)

セッションサマリー

IGESのザスマン氏は、アジアにおいて、気候変動と大気汚染政策の統合的アプローチによるコベネフィットへの関心が高まっていることを紹介した。これは気候変動と大気汚染政策の費用と便益を定量化する研究への関心にも表れている。輸送部門や林業部門などの主要セクターで、短命気候汚染物質(SLCPs)削減による効果的なコベネフィットが期待できる。

同じくIGESの石川氏より、気候変動と持続可能な開発目標(SDGs)の相互作用の重要性が述べられた。この相互作用にはポジティブ(相乗効果)である場合とネガティブ(トレードオフ)の場合がある。相乗効果について、輸送部門でのケースを例に詳しく紹介された。

続いて、CCACのパーネル氏は、アジアにおけるSLCP削減と複数の便益を促進するため、CCACが行っている支援活動を紹介した。都市の固形廃棄物管理、ブラックカーボンインベントリ、地域的評価(大気汚染対策報告)等のCCACの取り組みとそれらの重要性を議論した。 OECDのランジ氏は、大気汚染と気候変動を合わせたコストの最新の調査結果を発表した。

OECDによるシュミレーション結果は、これらのコストは、世界の中でもアジアでかなり高いことを示している。例えば、中国とインドでは、2060年までにGDPの約7%のコストが見込まれている。

ICIMODのカルキ氏は、アジアの森林火災による大気汚染について議論した。政府の多くが、森林を焼き払うことを禁止する法律を定めている一方、法の施行は困難である点を指摘。森林を持続的に管理するため、地域コミュニティへの適切なインセンティブを提供することが重要である。


キーメッセージ
  • 各国の開発における優先事項をNDCに含むことが可能である今日、アジアでは、大気汚染と気候変動を統合した政策が増えている。
  • SLCP削減を支援するCCACや、大気汚染と気候変動の総合的なコストの試算を行うOECDなど、国際的なイニシアチブからの支援が、この流れを後押している。
  • 政策立案者は、これらの機会を活かし、森林焼失ほかの開発課題に、革新的な解決法を探るべきである。
  • 刑罰ではなくインセンティブを与える政策のほうが、アジアの大気汚染と気候変動を緩和により効果的であるかもしれない。

報告者所属・名前

公益財団法人 地球環境戦略研究機関 エリック・ザスマン、赤星 香


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