イベントスケジュール

イベントスケジュール - COP25 JAPAN PAVILION

2019.12.11

11:30 - 12:45 2019.12.11
イノベーションによる環境と経済の好循環
緩和と適応

気候変動対策の努力の各国協調に向けて

主催者

  • 公益財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)

共催者

  • 米国未来資源研究所
  • デューク大学

イベント概要

イベントプログラム

  • 概要説明(5分)
    Raymond Kopp(米国未来資源研究所(RFF) 副社長・シニアフェロー)
  • 開会挨拶(5分)
    川口 征洋(経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室長)
  • 講演1(10分)国別貢献による国際競争力評価と長期大幅排出削減への示唆
    秋元 圭吾(地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループリーダー・主席研究員)
  • 講演2(10分)気候政策の透明性:国別貢献の評価
    Joe Aldy(ハーバード大学 教授)
  • 講演3(10分)グローバルストックテイクに向けた評価 環境政策と脱炭素化への課題
    Elena Verdolini(欧州経済環境研究所(EIEE) シニア・リサーチャー)
  • コメント(5分)
    有馬 純(東京大学 教授)
  • ディスカッション・Q&A(30分)

登壇者

  • 秋元 圭吾 地球環境産業技術研究機構(RITE) システム研究グループ グループリーダー・主席研究員
  • Raymond Kopp 米国未来資源研究所(RFF) 副社長・シニアフェロー
  • Joe Aldy ハーバード大学 教授
  • Elena Verdolini 欧州経済環境研究所(EIEE) シニア・リサーチャー
  • 有馬 純 東京大学 教授
  • 川口 征洋 経済産業省 産業技術環境局 地球環境対策室長

セッションサマリー

  • RFFのKopp氏による本セッションの概要紹介、経産省の川口室長による開会挨拶の後、各スピーカよりプレゼンテーションを行い、最後にディスカッションを実施した。
  • 秋元氏は、NDCにおける各国限界削減費用とその経済影響に関するRITE分析を紹介し、現行NDCにおける限界削減費用とその経済影響は各国間で大きく異なっており効率的な排出削減を阻害しうるほか国際貿易を通して炭素リーケージをもたらしうるため、レビュープロセスを通しNDCの協調を図ることが重要であると指摘した。また、一方で高い炭素価格を前提とした協調は現実的には難しく、エネルギー供給と需要側双方におけるイノベーションが2℃目標やさらなる大幅排出削減達成に必要であることを指摘した。
  • Aldy氏は、IAMによる各国NDC、SCC、2℃経路における限界削減費用の分析と世界貿易モデルによるNDC炭素価格の各国競争力への影響分析、統計予測モデルによる各国のBAU分析を紹介し、様々な経済的ツールを用いてNDCの不均一性やBAUの妥当性を評価することが透明性向上に貢献すると指摘した。
  • Verdolini氏は、IAMとバックキャスティングによる技術面以外での低炭素化阻害要因の分析の必要性、脱炭素に向けた移行コスト対応政策の重要性を指摘した。また環境政策による影響のシステマティック評価分析を紹介し、既往文献の結論の不一致は競争力と分布効果の面で多く存在しており、脱炭素化に向けた移行コストはより良い政策設計で低減できること、社会経済面に対するデジタル化の影響分析の必要性を指摘した。
  • 有馬氏は、NDCの協調は政治的に実現困難であること、国境炭素税についても国際的な合意は難しいこと、脱炭素の加速には参加国の緩和レベルの議論ではなくイノベーションを加速する行動が重要であること、緩和コストの低減、デジタル化による需要側のポテンシャルについてコメントした。
  • 各スピーカー及びパネリストのプレゼンテーション後、登壇者によるディスカッションを行った。世界均一の炭素税が現実的ではないこと、二国間の国境炭素税が自国保護主義や環境保護主義を助長しうること、国境調整税による各国国内の分布的影響、国境調整税が最良の手法ではないこと、just transitionが要するコストへの対応、システマティック分析の対象の途上国への拡大が今後の課題であることが議論された。

メッセージや成果

このセッションでは、各国NDCの協調の意義と必要性を明確にし、実効ある排出削減に向け様々なツールを用いて各国NDCを評価することの重要性を明らかにした。また、環境政策による影響を、社会経済面や競争力などの視点から整理し、各国政策への情報とすることが有用であると指摘された。一方、現実的な視点からはイノベーションによる緩和の重要性も指摘がなされた。

2019.12.11 WED のタイムテーブル