イベントスケジュール

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Collaboration with Developing Countries

15:00 - 16:30

タイトル

泥炭地におけるリアルタイム水位モニタリング:インドネシアにおける試み

イベント概要

2015年秋、インドネシアでは260万ヘクタールに及ぶ大規模な泥炭火災が発生し、1.5ギガトン以上の二酸化炭素が排出された。この数値は、ドイツの年平均二酸化炭素排出量を超える。この泥炭問題に対処するため、インドネシア政府は2016年1月に泥炭地回復庁を設置した。

火災発生の指標となるホットスポットは、泥炭地の水位との相関が高く、また、泥炭分解による二酸化炭素の排出量も水位との相関が高い。これらの相関関係を利用して、現在、日イの研究者はリアルタイム水位データを基にした早期火災警報システムおよび二酸化炭素排出モニタリングシステムを開発している。本イベントでは、これらのシステム開発について報告する。

キーワード

泥炭地、MRV、泥炭分解、泥炭火災

登壇者
  • Nazir Foead泥炭地回復庁・長官(インドネシア)
  • Haris Gunawan 泥炭地回復庁・次官(インドネシア)
  • Joko Prihatno 環境林業省GHGインベントリ局・局長(インドネシア)
  • 大崎満 北海道大学名誉教授
  • 高橋英紀 北海道水文気候研究所
  • 久保英之 JICA専門家
主催者
  • 国際協力機構(JICA)
  • インドネシア政府
最終プログラム

開会挨拶 (10分)

インドネシアにおける森林・土地火災及び泥炭地回復にかかるJICAの取組み

  • 森田 隆博 (独)国際協力機構(JICA)地球環境部 審議役兼次長(日本)

基調講演(10分)

インドネシアにおける泥炭地回復と今後の展開

  • Mr. Nazir Foead インドネシア国泥炭地回復庁 長官(インドネシア)

パネル・ディスカッション(60分、各12分×4件)

インドネシアにおける泥炭地回復の協働活動

  • Dr. Alue Dohong インドネシア国泥炭地回復庁 次官(インドネシア)

泥炭地における地下水位と地表面のリアルタイム遠隔モニタリングシステム

  • 高橋 英紀 特定非営利活動法人 北海道水文気候研究所 理事長(日本)

フィールドデータ伝送機器(SESAME)とリモートセンシング技術を利用した統合的先進MRVシステムの構築

  • 大崎 満 北海道大学農学部 名誉教授(日本)

インドネシアにおける第1回約束草案(First NDC)目標達成に向けた貢献

  • Dr. Ir. Joko Prihatno インドネシア国環境林業省GHGインベントリ・MRV局 局長(インドネシア)

モデレーター

  • 久保 英之 JICA専門家(インドネシア)

質疑応答(10分)

閉会


セッションサマリー

本イベントでは、約40名の参加者を迎え、冒頭、地球環境部森田審議役・次長より、インドネシアにおける森林・泥炭地火災対策及び泥炭地回復のJICAの取組みと今後の協力ロードマップが紹介された。続いてインドネシア国泥炭地回復庁(以下、BRG)ナジル長官からは、同庁の泥炭地回復の取組みとその進捗、またJICA/北海道大学による日本の支援への謝意と今後の期待が示された。

その後のパネル・ディスカッションでは久保JICA専門家をモデレーターに迎え、まずBRG次官のDr. Alueより、同庁が同国6州で取り組む泥炭地の3Rs活動(①再湿地化、②植生回復、③住民の再活性化)が紹介され、泥炭地回復活動は、地域住民を含むマルチステークホルダーとの協働が鍵である旨言及された。続いて、北海道水文気候研究所・高橋理事長より、泥炭沈降による炭素損失と地下水位の深さとの相関関係から、同国の泥炭・森林火災予防及び泥炭沈降に対応するため、日本製フィールドデータ伝送機器(SESAME)を活用した地下水位モニタリングの重要性が示された。北海道大学・大崎名誉教授より、長年にわたる同国における経験から、泥炭地における地下水位と土壌水分量の関係に触れ、最新のリモートセンシング技術と上記SESAMEシステムを組み合わせた「統合的MRVシステム」の構築と同システムを発展させるためのキャパビルの必要性が示された。また現在同国BPPT(技術評価応用庁)との連携により開発が進められている地下水位測定マップの成果が披露された。

最後に環境林業省のDr.Jokoが登壇し、昨年11月に提出された第1回国別目標(NDC)達成には、マルチステークホルダーとの協働により、ランドスケープ(準国)レベルでREED+コンポーネントを活用し、土地利用セクター(LULUCF)からの排出削減に取組むことが重要である点、また国家GHGインベントリシステム(SIGN-SMART)等を含む一連の透明性枠組を活用し、政治的コミットメントに加え、地方政府、民間セクターの参画がNDCの実施をより確実なものとする点が示された。

最後に、モデレーターの久保JICA専門家より、当該分野において、両国の長期にわたる官学連携による具体的な協力成果が確認され、また今後も引き続き、両国の強いタッグにより協力を継続する方向性を確認し、本イベントは閉会した。


キーメッセージ
  • JICAはインドネシア泥炭地回復庁(BRG)との共催により、同国環境林業省及び北海道大学の協力を得てサイドイベントを開催し、JICA/北海道大学とインドネシア政府の両国が取り組む泥炭地回復と泥炭地におけるリアルタイム地下水位モニタリングの取組みを報告した。
  • JICAの支援によりBPPTが開発している地下水位測定マップに基づき、今後、①泥炭の微生物分解による二酸化炭素放出モデルと②火災の頻度と強度推定モデルの作成が可能となる。さらに、降水量予測モデルの作成により、火災の頻度と強度推定モデルの3ヶ月前の予想モデルの作成も可能となる。
  • 中央カリマンタンでのこれまでの成果を踏まえ、泥炭地地下水位モニタリングシステムの更なる精度の向上に加え、同システムの活用によりMRV方法論を開発し、インドネシアの国レベルで適用することが重要である。
  • 日尼両国の長期にわたる官学連携による具体的な協力成果が確認され、また今後も引き続き、両国の協働により当該分野の協力を継続する方向性を確認した。

報告者所属・名前

(独)国際協力機構 南雲 孝雄


写真

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