17:00 - 18:30
タイトル | OECD諸国における気候変動情報開示の主流化 |
---|---|
イベント概要 | このサイドイベントは、気候関連のリスクや戦略の開示に向けた、企業や投資家からの需要の高まりについて議論します。また、開示を促進する革新的な政策や、企業、年金基金、資産管理者などの非国家主体による優良事例や具体的な活動について、更には、如何に環境、社会、ガバナンス(ESG)の要素をビジネス戦略に統合していくかについて焦点をあてていく予定です。また、シナリオ分析を奨励するための主要な課題と機会について、また、ビジネス戦略やポートフォリオを2℃シナリオと整合するにはどうすべきかについても議論を行う予定です。加えて、日本や他国の優れた事例を紹介できればと考えています。このサイドイベントは、OECDの関連部門のみならず、気候関連財務開示に関するFSBタスクフォースと持続可能な財務に関するEUハイレベル専門家グループの提言をもとに構成されます。 |
キーワード | "Disclosure of climate related risks, ESG, TCFD, OECD countries |
登壇者 |
|
主催者 |
|
開始の挨拶(10分):
モデレーターによる登壇者紹介および議論の設定(10分)
討論(45分):
コメント(5分):
質疑応答(15分):
モデレーターによる閉会の挨拶(5分)
本イベントでは、気候変動リスク情報開示(以下、開示)やリスクに対処する戦略に向けた投資家からの需要の高まりに対し、どのように対応していくべきかを議論した。田中氏(IGES)による歓迎の言葉に続き、モデレーターのテバー-レス氏(OECD)によるパネリストへの3つの質問を中心に討論を展開した。
パネリストは、開示が形式的なものに留まらず、実際に投資家に使われるための課題を提起し、そのために開示情報を統合する必要性について議論した。
デュプレ氏(2° インベスティング・イニシアチブ)は、金融規制当局によってEUレベルでシナリオ分析を実施する重要性を強調した。オリベクロナ氏(スウェーデン年金基金)は、TCFD勧告による開示について、たんなる開示の枠組みに留まらず、分析やエンゲージメント(投資家による企業経営への働きかけ)のツールとしての意義を強調した。
ホブレイ氏(カーボン・トラッカー)は、開示がもたらしうる影響(インパクト)の観点から考察する必要性を強調し、開示が、アセットオーナーや資産運用会社を含む株主を動員し、将来のシナリオ分析やストレス・テストなどを通じてインパクトをもたらす大きな可能性を秘めていると述べた。
ペレズ氏(アーンスト・アンド・ヤング)は、情報開示に関する企業や投資家の意識向上におけるフランスエネルギー移行法第173条の役割を強調した。オリベクロナ氏は、カーボンフットプリントの計測を超え、将来の見通しに関する指標を確立する必要があると指摘した。また、ホブレイ氏は、情報開示は目的に適合しなければならず、政策担当者がそれらの整合性を確保するために貢献できること、またこの点においてOECDが規制当局と投資家の間で重要な役割を果たしうることを強調した。デュプレ氏は、現行のエネルギー移行法第173条を超えて、金融規制当局から、トップレベルでの開示を求めるとともに、開示アプローチの標準化を支援する必要性を強調した。
ディスカッサントの髙村氏(名古屋大学大学院)からは、日本企業の開示への取組みについてコメントするとともに、その現状を踏まえ、OECD諸国において関係者がどのようにして開示の主流化に取組んでいるのか、パネリストたちに討論を促した。
地球環境戦略研究機関 (IGES) 重本彰子/ 経済協力開発機構 (OECD) 高田英樹
Copyright Ministry of the Environment Government of Japan. All rights reserved