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17:00 - 18:30

タイトル

OECD諸国における気候変動情報開示の主流化

イベント概要

このサイドイベントは、気候関連のリスクや戦略の開示に向けた、企業や投資家からの需要の高まりについて議論します。また、開示を促進する革新的な政策や、企業、年金基金、資産管理者などの非国家主体による優良事例や具体的な活動について、更には、如何に環境、社会、ガバナンス(ESG)の要素をビジネス戦略に統合していくかについて焦点をあてていく予定です。また、シナリオ分析を奨励するための主要な課題と機会について、また、ビジネス戦略やポートフォリオを2℃シナリオと整合するにはどうすべきかについても議論を行う予定です。加えて、日本や他国の優れた事例を紹介できればと考えています。このサイドイベントは、OECDの関連部門のみならず、気候関連財務開示に関するFSBタスクフォースと持続可能な財務に関するEUハイレベル専門家グループの提言をもとに構成されます。

キーワード

"Disclosure of climate related risks, ESG, TCFD, OECD countries

登壇者
  • 田中聡志(IGES)
  • クリスティーナ・テバー-レス(OECD)
  • スタニスラス・デュプレ(2° Investing Initiative)
  • アンソニー・ホブレイ(Carbon Tracker Initiative)
  • クリスティーナ・オリベクロナ(AP2)
  • ジュリアン・ペレズ(EY)
  • 髙村ゆかり(名古屋大学大学院)
主催者
  • 経済協力開発機構(OECD)
  • 地球環境戦略研究機関(IGES)
最終プログラム

開始の挨拶(10分):

  • 田中聡志 地球環境戦略研究機関 (IGES) プリンシバルリサーチディレクター(日本)

モデレーターによる登壇者紹介および議論の設定(10分)

  • クリスティーナ・テバー-レス 経済協力開発機構 (OECD) レスポンシブル・ビジネス・コンダクトチーム長

討論(45分):

  • スタニスラス・デュプレ 2° インベスティング・イニシアチブ グローバルディレクター (アメリカ)
  • アンソニー・ホブレイ カーボン・トラッカー・イニシアチブ CEO (イギリス)
  • クリスティーナ・オリベクロナ スウェーデン年金基金(AP2) サステナビリティアナリスト ジュリアン・ペレズ アーンスト・アンド・ヤング シニアマネージャー (フランス)

コメント(5分):

  • 髙村ゆかり 名古屋大学大学院 教授 (日本)

質疑応答(15分):

モデレーターによる閉会の挨拶(5分)


セッションサマリー

本イベントでは、気候変動リスク情報開示(以下、開示)やリスクに対処する戦略に向けた投資家からの需要の高まりに対し、どのように対応していくべきかを議論した。田中氏(IGES)による歓迎の言葉に続き、モデレーターのテバー-レス氏(OECD)によるパネリストへの3つの質問を中心に討論を展開した。

  1. 気候変動リスク情報を報告や開示の枠組みに組み込み、特に機関投資家の投資決定に反映させるための重要な課題と優先事項は何か?

パネリストは、開示が形式的なものに留まらず、実際に投資家に使われるための課題を提起し、そのために開示情報を統合する必要性について議論した。
デュプレ氏(2° インベスティング・イニシアチブ)は、金融規制当局によってEUレベルでシナリオ分析を実施する重要性を強調した。オリベクロナ氏(スウェーデン年金基金)は、TCFD勧告による開示について、たんなる開示の枠組みに留まらず、分析やエンゲージメント(投資家による企業経営への働きかけ)のツールとしての意義を強調した。

  1. 投資家は、企業の事業戦略に影響を与えるためのツールとして、開示をどのように活用しうるか?

ホブレイ氏(カーボン・トラッカー)は、開示がもたらしうる影響(インパクト)の観点から考察する必要性を強調し、開示が、アセットオーナーや資産運用会社を含む株主を動員し、将来のシナリオ分析やストレス・テストなどを通じてインパクトをもたらす大きな可能性を秘めていると述べた。

  1. 政策担当者の役割は何か、また、どのような枠組みを用いるべきか?

ペレズ氏(アーンスト・アンド・ヤング)は、情報開示に関する企業や投資家の意識向上におけるフランスエネルギー移行法第173条の役割を強調した。オリベクロナ氏は、カーボンフットプリントの計測を超え、将来の見通しに関する指標を確立する必要があると指摘した。また、ホブレイ氏は、情報開示は目的に適合しなければならず、政策担当者がそれらの整合性を確保するために貢献できること、またこの点においてOECDが規制当局と投資家の間で重要な役割を果たしうることを強調した。デュプレ氏は、現行のエネルギー移行法第173条を超えて、金融規制当局から、トップレベルでの開示を求めるとともに、開示アプローチの標準化を支援する必要性を強調した。
ディスカッサントの髙村氏(名古屋大学大学院)からは、日本企業の開示への取組みについてコメントするとともに、その現状を踏まえ、OECD諸国において関係者がどのようにして開示の主流化に取組んでいるのか、パネリストたちに討論を促した。


キーメッセージ
  • TCFDやフランスの法制により提唱された気候変動情報開示は、投資家が企業と対話しその戦略に影響を与える有効なツールとなりうる。政策担当者はこのプロセスを加速するため、将来を見通したシナリオ分析やストレス・テストを促すとともに、更なるルールの整合化を図ることが考えられる。
  • OECDは、投資家と政策担当者の対話の促進や、各国の状況に関する詳細な分析を通じて重要な役割を果たしうる。
  • 日本を含む各国は、現存するモデルから学び、自国の状況に適合したモデルを発展させることができる。

報告者所属・名前

地球環境戦略研究機関 (IGES) 重本彰子/ 経済協力開発機構 (OECD) 高田英樹


写真

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