10:30 - 12:00
タイトル | 東南アジア地域対話-NDCレディネス構築に向けた国内努力と実践的教訓- |
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イベント概要 | 2016年パリ協定の発効および2018年度の促進対話を控え、締約国各国におけるNDCの見直し作業が進展しているが、NDCを絵に描いた餅に終わらせないためには、如何に紙ベースのプレッジに具体性を付与し、実効性を担保する国内努力を講じうるかが達成への鍵となる。本イベントでは、東南アジア国およびグローバルパートナーシップを招聘し、COPの場では見過ごされがちなNDCに纏わる国内努力の実際について経験を持ち寄り、各国が共通して直面する課題(特に国内アクターのマンデート、分野横断調整、実施手段との紐付、透明性)を中心に討議することを目的とする。 |
キーワード | Paris Agreement, NDC Readiness, Legal Bindingness, Transparency |
登壇者 |
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主催者 |
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フレーミングプレゼンテーション(10分)
Enablers to Drive NDC Readiness and Key Observations from Technical Assistance
国別プレゼンテーション(10分毎)
タイ
インドネシア
ベトナム
パネルディスカッション
質疑応答
パリ協定の発効を受け、締約国はNDCの実施に向けた国内準備を進める移行期間に突入している。本セッションは、成長著しい東南アジアの主要中進国であるタイ、インドネシア、ベトナムおよび国際イニシアチブであるNDCパートナーシップ(以下、NDCP)を交え、NDCの実施フェーズへの移行に向けた国内努力の進捗と、そこから抽出される実務
的課題、教訓を広く共有・抽出し、相互学習に資することを目的とした。
フレーミングプレゼンテーションでは、先行調査より途上国に共通するNDCの優先ニーズとして、主流化、体制構築、資源確保、情報基盤・モニタリングが示され、各ニーズを満たすための要件およびアプローチが示された。
続く各国発表より、タイはNDC緩和ロードマップの策定・承認を、インドネシアはNDCを反映した新規行動計画(RAN-GRK)と低炭素発展計画の策定およびオンラインモニタリング・評価・報告(ME&R)制度の運用を、ベトナムはNDCと実施主体の責務を紐づける国内政策の策定をそれぞれ進めており、いずれの国も次期枠組みの開始タイムラインを見越し、NDCの実効性を担保する国内努力を着実に講じていることが確認された。
全体議論では、NDCPより、現在62の加盟国との協議から抽出された教訓として、non-state actorを含む包摂的な国内ステークホルダーの巻込み、主流化の努力、伝統的なセクター縦割りからの脱却、SDGsとの連動および相互学習の重要性、が共有された。
一方、NDCを具体化させる過程において、制度面、能力面、技術面(特に実施主体対象のガイドライン)で課題が残ることも示された。次ステップとして、タイはNDCロードマップに基づくセクター別行動計画策定と対策の深堀、インドネシアはガイドライン策定、が示された。
NDCは国家の低炭素および気候耐性型の発展への移行を担保する有効な手段となりうるが、先進国・途上国を問わず新たな概念であり、その策定・実施・改善には試行錯誤を要する。これら各国が講じる国内努力の進捗(政策・体制・主流化・技術基盤・実施、他)や試行錯誤に基づき得られる教訓を持ち寄り相互学習とすることは、全体としてNDCの実施に向けた速度を速め、その効率性を高めることに寄与する。
国際協力機構(JICA)福田幸司
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