2022.11.9 WED
- 15:00 - 16:30
- パリ協定達成に向けたJICAの気候変動対策 コベネフィット型気候変動対策の観点から持続可能な開発とのシナジーとトレードオフの理解を深める
- 主催者
- 独立行政法人 国際協力機構(JICA)
- セミナー概要
- 気候変動による社会・経済への脅威から世界全体で温室効果ガスの削減努力と共に、強靭な社会の構築の必要性はIPCCの報告書(AR6)においても強調されている。また、パリ協定の達成に向けて世界各国が取り組みを強化することが重要である。係る状況において、JICAは、途上国での開発事業において気候変動対策を推進すべく、2021年に事業戦略であるグローバル・アジェンダ(気候変動) (以下、GA)を策定。 同戦略では、「パリ協定の実施促進」と「コベネフィット型気候変動対策(以下、コベネ型対策)」を気候変動対策推進の柱と設定し、具体的な数値目標を設定。また、2022年4月から開始されたJICAの第5次中期計画(2022-2026)においても気候変動対策を重点課題に据えている。
本サイドイベントはパリ協定の達成に向けた、開発途上国及びJICAの取り組みについて、JICAのGA、特にコベネフィット型気候変動対策の観点から紹介を行うと共に、気候変動対策の効果的アプローチについて議論を深めること、開発と気候変動対策のトレードオフについても理解を深めることを目指す。
ライブ配信はこちら: https://forms.office.com/r/xVbgPq2yQK
※現地エジプトのネットワーク状況によっては配信ができない可能性がありますことご了承ください
- 登壇者
- 【現地登壇者】
- 武藤めぐみ(独立行政法人国際協力機構(JICA)) 上級審議役
- 宮崎 明博(独立行政法人国際協力機構(JICA)) 地球環境部 次長
- Mr. Pornphrom Vikitsreth(バンコク首都圏庁(BMA) ) バンコク首都圏庁(BMA) 知事アドバイザー
- Dr. Medrilzam(インドネシア、国家開発省国家開発企画庁(BAPPENAS)) 環境ダイレクター
- Mr. Ahmed Al Qabany(世界銀行 気候変動対策グループ 気候変動 アドバイザリー・オペレーション・ユニット) 上席気候変動スペシャリスト
【オンライン登壇者】- 佐藤 一郎(独立行政法人国際協力機構(JICA) 緒方貞子平和開発研究所) 上席研究員
- セッション
サマリー -
本イベントでは、パリ協定の達成に向けた開発途上国及びJICAの取組について、各開発課題の解決と同時に気候変動対策にも貢献するにコベネフィット型気候変動対策の観点から紹介を行うと共に、開発途上国における効果的な気候変動対策のアプローチ、開発と気候変動対策のトレードオフについて議論を深めた。
はじめに、JICAの武藤めぐみ上級審議役は、JICAは気候変動に対する長期戦略支援に加えて、エネルギー、運輸交通分野などでも、気候変動対策を見据えたプログラムに多く取り組んでいることを紹介し、エネルギー、運輸、農林水産等の省庁も巻き込んだ気候変動対策の重要さを強調した。
次に、JICA地球環境部気候変動対策室の宮崎明博室長が、JICAのコベネフィット型気候変動対策が、「持続可能な開発と気候変動対策の相乗効果を最大化するための総合的かつ包摂的なアプローチであり、潜在的なトレードオフを回避を目指すものである」ことを紹介。カイロ地下鉄プロジェクトによって公共交通の整備・改善とあわせてCO2の排出削減効果があった事例や、フィリピンでの複合的な防災支援により、近年の大規模台風被害を大幅に軽減したこと等を紹介した。
インドネシア、国家開発省国家開発企画庁(BAPPENAS)環境ダイレクター Medrilzam氏は、気候変動が同国にもたらす被害の予測と、国家中期計画(2020–2024)に含まれている「気候変動に強靭な開発戦略」を紹介した。同戦略は海洋・沿岸、水資源、農業、保健分野を重点分野とし、活動、成果、実施者を定めていることの説明とともに、実施にあたっては各国からの資金支援や技術支援を得たいと述べた。
バンコク都庁(BMA)の知事アドバイザーVikitsreth氏は、バンコク都庁が最重要視しているビジョン「a livable city(住みやすい都市)」の下、気候変動対策として、温室効果ガス排出削減のため都市交通導入、公共バスや自転車の活用、電動車両や太陽光発電の導入を行っていることを紹介。さらに、廃棄物管理の改善、植樹、市民のための福祉として公園整備なども行っていることを紹介した。
JICA緒方貞子平和開発研究所の佐藤一郎上席研究員は、ケニアの灌漑開発事業を取り上げた。気候変動・適応策は将来的影響について不確実性が大きい中、その影響や対策の効果の評価を試みた研究結果を紹介した。
パネルディスカッションでは、気候変動対策とSDGsとの連携・統合が重要であることや、気候変動対策を講じることにより生じる負の影響を如何に考慮するか等について議論がなされた。パネリストの世界銀行の上席気候変動スペシャリストAhmed Al Qabany氏は、気候変動と開発の統合の必要性に言及すると共に、信頼できる情報と分析の重要さを強調した。
その他のタイムテーブル
2022.11.9 WED
- 10:30 - 12:00
-
責任あるトランジション支援と信頼できるカーボンニュートラルへの道すじ
三菱UFJ銀行
- 13:00 - 14:30
-
ASEANのエネルギートランジションと脱炭素化のためのファイナンス動員
経済産業省
- 17:00 - 18:30
-
日本において企業は如何に脱炭素化を加速できるか
日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)
- 19:00 - 20:30
-
プラネタリ・バウンダリを重視した化学産業の2050年カーボンニュートラル実現とその新たな役割
東京大学