2021.11.11 THU
15:00 - 16:30
2021.11.11
アジアの炭素中立実現に向けて-AIMモデルによるアジアと日本、未来志向の協働
地球環境戦略研究機関
共催者
環境省、国立環境研究所
セミナー概要
COP26の機会に、アジアの複数の国は2050年、或いは今世紀後半にカーボンニュートラルを達成することをプレッジしました。こうしたコミットメントの基礎として、一部の国は、アジア太平洋統合評価モデル(AIM)によって計算された中長期の温室効果ガス排出シナリオを利用しています。一方、COP26に向けて、ASEAN事務局は、IGESや他の組織と協力して、ASEAN気候変動状況報告書(ASCCR)を発表しました。この報告書は、いかにしてアジアが2050年、或いは今世紀後半にカーボンニュートラルを達成するかの洞察を提供しています。
さて、環境省とAIMプロジェクトチームは、アジア地域の国の長期戦略策定や、その実施の重要な役割を担う主体である各国都市の脱炭素戦略等の策定を支援してきました。
本サイドイベントでは、まず、AIMプロジェクトチームから、20年以上にわたるAIMのアジアとの協働について説明します。次に、タイやインドネシアなど、AIMによる分析が長期戦略策定に有効に働いている例や、ジャカルタやクアラルンプールなど都市での取り組みを紹介します。
登壇者
- ・正田寛 環境省 地球環境審議官
・エマ・ラクマワティー インドネシア・環境林業省 気候変動緩和ディレクター、気候変動局長
・ファン・ヴァン・タン ベトナム・天然資源環境省 気象・水文・気候変動局 次長
・藤野純一 地球環境戦略研究機関 サステイナビリティ統合センター プログラムディレクター
・イルヴァン・プルンガン ジャカルタ都 気候特使
・マハディ―・ビン・チェ・ヌガー クアラルンプール市 市長
・ホー・チン・ション マレーシア工科大学 教授
▼オンライン参加者
・リム・ジョクホイ 東南アジア諸国連合 事務総長
・シャヒダン・カシーム マレーシア連邦領省 大臣
・プリヤダルシ・シュクラ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 第三作業部会 共同議長
・増井利彦 国立環境研究所 社会システム領域(脱炭素対策評価研究室)/室長
・ブンディット・リミーチョクチャイ タイ・タマサート大学 シリントーン国際工学部 教授
・リザルディ・ボア― インドネシア・ボゴール農業大学 教授
・レトノ・グミラン・デゥイ インドネシア・バンドン工科大学 教授
・ウコック・シャギアン インドネシア・バンドン工科大学
セッションサマリー
本サイドイベントでは、まずASEAN事務総長から、10月にASEAN事務局が発表した「ASEAN気候変動状況報告書(ASCCR)」について紹介があった。このレポートは、科学的な知見に基づき、ASEAN各国の気候変動の緩和・適応両分野における現在の状況を明らかにし、2030年、2050年に向けた具体的な道筋を示した初めてのレポートである。
次いで、AIMプロジェクトチームから、AIMの20年以上にわたるアジアとの協働について説明があった。これを受け、IPCC第三作業部会の共同議長から、AIMプロジェクトチームがアジアで果たしてきた科学的な政策立案の基盤づくりの意義について言及があった。
近年、環境省とAIMプロジェクトチームはアジアの複数の国の長期戦略策定を支援している。インドネシアでは「Long-term Strategy for Low Carbon and Climate Resilience 2050」に、タイでは「Mid-century, Long-term Low Greenhouse Gas Emission Development Strategy」に、AIMによる分析が含まれている。サイドイベントでは、この分析を実施したインドネシア及びタイの研究者が概要を説明した。これを受けてインドネシアの政策担当者から、科学的な長期戦略策定やアジアの能力構築にかかる日本の貢献への謝意が述べられた。ベトナムでは、AIMモデルを用いて排出ピーク年の算定を行っているところ、ベトナムの政策担当者から今後の継続した協力への期待が示された。
また、環境省とAIMプロジェクトチームは、国レベルのみならず、都市レベルにおいても脱炭素シナリオ策定やその実装に向けた支援を行っている。マレーシアのAIM研究者による概要説明に対応し、マレーシア連邦領省大臣やクアラルンプール市長から、また、ジャカルタ都の気候変動担当官からAIMの貢献について言及があった。
メッセージや成果
11月11日、IGESは、「ASEAN気候変動状況報告書(ASCCR)」についての動画を公開しました。ASCCRは、ASEAN事務局がIGESと共に、ASEAN気候変動作業部会(AWGCC)とASEAN環境担当高級実務者の所掌下で開始・調整し、日・ASEAN統合基金(JAIF)を通じた日本政府からの多大な支援で可能となったものです。
本動画では、クン・ポアックASEAN前事務次長(社会文化共同体担当)、正田寛環境省地球環境審議官、高橋康夫IGES所長のレポート完成に寄せた祝辞とコメントをご紹介しています。それぞれ、本レポートの背景や今後の展望にも触れ、ASEAN地域の脱炭素化と持続可能な発展に向けた大きな一歩としてレポートの重要性を強調しています。さらに、本レポートの執筆者の1人である、IGESの有野洋輔研究員が、本レポートの概要やポイントについて解説します。
英国・グラスゴーでのCOP26におけるASEAN各国の発言や行動が大きく報道されるなど、世界の脱炭素化に向けて、ASEAN地域はますますその重要性を増していくことでしょう。こうした中、本稿は科学的な知見に基づき、ASEAN各国の気候変動の緩和・適応両分野における現在の状況を明らかにし、2030年、2050年に向けた具体的な道筋を示した初めてのレポートです。
この動画を通じて、本稿の意義や概要をより多くの方にご理解いただければ幸いです。
動画URL:https://youtu.be/w4uMlEc0FeU
レポート: https://www.iges.or.jp/en/pub/asean-state-climate-change-report/en
2021.11.11 THUタイムテーブル
10:30 - 12:00
2021.11.11
環境省(地球環境局国際協力・環境インフラ戦略室)
13:00 - 14:30
2021.11.11
(公益財団法人)地球環境産業技術研究機構(RITE)
17:00 - 18:30
2021.11.11
環境省、EU、UNEP、UNIDO、オランダ政府、世界経済フォーラム