2021.11.4 THU
13:00 - 14:30
2021.11.4
SDGs レジーム下における新興国の環境・気候変動政策への取り組みとその課題~開発協力のアプローチに関する研究からの提言~
JICA緒方貞子平和開発研究所
共催者
法政大学、桜美林大学、一般社団法人海外環境協力センター, 地球環境戦略研究機関
セミナー概要
JICA緒方研究所では、これまで実施されてきた開発途上国での気候変動・環境分野での協力を題材に、新興国における環境や気候変動の発展的取組みに向けて政策研究を実施してきた。特に、パリ協定との関係の深い国家温室効果ガスインベントリや、非政府主体である都市における気候変動行動計画等を中心に、事例を収集し分析を行った。本セミナーでは、研究を得られた結果である、SDGやパリ協定で各国が求められる新たな取組を実施するための能力強化の重要性と、有効な支援のアプローチについて報告を行い、ASEAN諸国の専門家も交えて意見交換を行い、今後の政策に向けた提言を行う。
登壇者
- ・加藤 真 海外環境協力センター 理事/主席研究員
▼オンライン参加者
・藤倉 良 法政大学 教授
・川西 正人 国際協力機構 国際協力専門員
・梅宮 知佐 地球環境戦略研究機関 リサーチマネージャー
・福田 幸司 国際協力機構 長期専門家
・赤木 純子 地球環境戦略研究機関 リサーチマネージャー
・Ho Chin Siong University Technology Malaysia Professor
・Wongkot Wongsapai Chiang Mai University Associate Professor
・Nguyen Tung Lam Vietnam National Productivity Institute Acting Director
・安達 一郎 JICA緒方貞子平和開発研究所 上席研究員
配布資料
セッションサマリー
・ 冒頭、藤倉教授からは、SDGs、パリ協定といった国際合意下で、途上国の自発的かつ発展的な取組みの重要性はさらに高まる一方、環境政策や気候変動への取組みに対する課題も多く、JICA緒方貞子平和開発研究所で、これまで実施されてきた途上国への気候変動・環境分野での国際協力を題材に、環境や気候変動の発展的取組みに向けた政策研究を実施してきた紹介を行った。
・ 安達上席研究員より、緒方研究所の概要を紹介した後、研究プロジェクト「SDGs下における環境/気候変動制度・政策の発展に向けての実証研究」の背景・目的を紹介し、MRVやNDCといった分野への継続的な技術協力は各国の透明性を高める上で重要であり、また都市間の連携をはじめとしたボトムアップ・アプローチは日本の協力の特徴と述べた。
・ 最初のセッションでは、インドネシア、及びASEAN諸国全体に焦点を当て、国レベルの気候変動政策実施を強化するために必要なキャパシティや、開発協力の役割の議論が行われた。川西専門員はJICAがインドネシアで実施した温室効果ガス(GHG)インベントリ作成に関する技術協力の事例分析をもとに、技術協力が途上国の内発的かつ長期的な能力開発に触媒効果をもたらすことを示唆した研究成果を報告した。梅宮氏からは、GHGインベントリ作成時の役割・責任、人材、データ収集の状況を調査し、課題と効果的な解決方法について報告があった。その後のQ&Aセッションでは、アフリカへの支援に向けた本研究結果の適用可能性の質問がフロアからあり、プレゼンターとの活発な議論を行われた。
・ 二つ目のセッションでは、ベトナムやマレーシア、タイの地方自治体レベルでの気候変動対策実施に焦点をあてた。福田JICA専門家は、ベトナムの自治体レベルの気候変動行動計画(CCAP)に影響する要因、及び実施における国際協力の役割に関して、ハイフォン市とホーチミン市の事例の比較分析結果を報告した。マレーシア工科大学のHo Chin Siong教授は、自治体での気候変動対策のモデル事例として、JICAのSATREPSの協力を通じて作成された、マレーシア・ジョホール州のイスカンダル市の低炭素社会実現ロードマップ(LCSBP)の事例を紹介した。チェンマイ大学Wongkot Wongsapai准教授は、JICA技術協力である、タイ・バンコク都気候変動マスタープラン2013-2023実施能力強化プロジェクトにおける各ステークホルダーへの能力向上調査の途中結果の報告があり、開発協力における気候変動への取組みの重要性が示唆された。セミナーの最後に藤倉教授より、閉会挨拶を行い、途上国における国、地方自治体の取組みと、JICA等からの開発協力の有効性に関する研究の重要性を述べて、セミナーを締めくくった。
メッセージや成果
・ GHGインベントリ作成の技術協力が制度環境の変化と相互作用し、能力開発に触媒的作用を及ぼした。
・ アジア・太平洋地域でのGHGイベントリ作成事例が増えており、その実施強化に向けての統計学や、科学の基礎的な知見の能力開発が不可決である。
・ 継続的な開発協力の重要性と、ボトムアップ・アプローチの重要性が確認されているが、実態調査研究を積み重ねていくことが重要である。
2021.11.4 THUタイムテーブル
10:30 - 12:00
2021.11.4
公益財団法人地球環境戦略研究機関
15:00 - 16:30
2021.11.4
17:00 - 18:30
2021.11.4
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)