イベントスケジュール - COP25 JAPAN PAVILION
2019.12.05
温室効果ガス排出量削減政策に貢献する衛星観測
主催者
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
共催者
- 文部科学省(MEXT)
- 環境省(MOE)
- 国立環境研究所(NIES)
イベント概要
2019年に改良された「2019年方法論報告書」では、2006年IPCCガイドラインにおいて記載されていた衛星観測の技術不足を覆し、新たに衛星観測に関する章が設けられ、2009年に我が国が打上げたGOSATをはじめとする衛星データの有効性が認められるに至った。
2015年のパリ協定採択以降、気候変動枠組み条約締約国会議においては、パリ協定の実施指針や2023年から始まるグローバルストックテイクに向けた議論が行われており、また昨年の「1.5度特別報告書」に続き、本年8月には「土地利用に関する特別報告書」が公表された。このような議論において、より正確なGHG排出量及び排出源把握の必要性が高まっているところである。
本セミナーでは、衛星GHG観測の最新の動向や各国による衛星データを用いたインベントリの検証結果、及び日本が進める「GHG統合解析システム」構想を紹介し、さらに国別GHG排出量報告書の作成や各国の排出量削減政策の実施における衛星データの活用に向けた期待について議論する。
登壇者
- 瀬川 恵子 環境省(MOE) 大臣官房審議官
- Prabir Patra 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 主任研究員
- 中島 正勝 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門 宇宙利用統括付
- David Crisp, National Aeronautics and Space Administration (NASA) / Jet Propulsion Laboratory (JPL), Senior Research Scientist
- Batjargal Zamba モンゴル自然環境・観光省 気候変動特使
- 三枝 信子 国立環境研究所(NIES) 地球環境研究センター長
- 平林 毅 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門 衛星利用運用センター(SAOC) センター長
配布資料
セッションサマリー
本セミナーでは、衛星による大気中の温室効果ガス(GHG)観測に関する成果や今後の期待について、衛星データ提供側と利用側の視点から議論を行った。
衛星データを提供しているJAXA及びNASAから、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」によるGHG観測の成果や、各国宇宙機関との協力による観測について紹介した。一方で衛星データを利用する立場として、大気化学輸送モデルの専門家や、様々な観測機器によるGHGデータを統合する立場から、衛星データを利用したことによる予測精度の向上等の成果や今後の研究計画について紹介された。さらに、国別GHG排出量報告書の作成、ひいては排出量削減政策に「いぶき」の観測データを利用しようと取り組んでいるモンゴル自然環境・観光省から、現在抱えている課題やそれらを解決を目指した衛星観測への期待などが述べられた。また、日本が計画している衛星データ、現場観測データ及びモデルを統合し、より正確な吸排出量を把握するための「GHG統合解析システム」構想を紹介した。その後のパネルディスカッションでは、GHGインベントリの作成に利用するため、より精度の高い観測データの取得が必要であるとの意見、また日本が進める「GHG統合解析システム」はグローバルストックテイクに向けて重要であるとのコメントがあった。また、データ提供者、研究者、インベントリ作成者間のより一層の協力と連携、特に国際的な連携が必要であるとの認識を共有した。
メッセージや成果
温室効果ガスの排出量削減に関する政策に貢献するため、JAXAは、国内外の研究者やインベントリ作成者との連携・協力を一層促進し、今後も衛星による信頼性の高い観測データを提供していく予定である。また、2023年から始まるグローバルテイクに向けて、国内機関や他国の宇宙機関と協力し、衛星による温室効果ガスの観測体制を構築する。
2019.12.05 THU のタイムテーブル
ユースによる気候アクション
Singapore Youth For Climate Action
太平洋における気候変動強靭性強化にむけて:民間を対象としたキャパビル機会の充実
国際協力機構(JICA)
温室効果ガス排出量削減政策に貢献する衛星観測
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
CTCN及びGCFを活用した低炭素技術の移転促進
公益財団法人 地球環境センター