イベントスケジュール

イベントスケジュール - COP25 JAPAN PAVILION

2019.12.07

10:30 - 12:30 2019.12.07
緩和と適応

東南アジア地域対話―国家NDC進捗管理および都市レベル気候変動対策の透明性枠組の設計―

主催者

  • 国際協力機構(JICA)
  • 一般社団法人海外環境協力センター(OECC)
  • タイ温室効果ガス管理機構(TGO)
  • ベトナム天然資源環境省(MONRE)
  • バンコク都(BMA)
  • ホーチミン市天然資源環境省(DONRE)

イベント概要

イベントプログラム

  • 10:30 – 10:35 開会挨拶

    村上裕道 国際協力機構(JICA)地球環境部次長

セッション1:東南アジアにおけるNDC実施の進捗管理のシステム構築

  • 10:35 – 11:25 パネル討議

    モデレーター:福田幸司 JICA技プロ「東南アジア地域低炭素・レジリエントな社会構築推進能力強化事業」総括

    パネリスト:タイ、ベトナム、UNESCAP、ADB、OECC

    • NDC進捗管理を巡る概況
      (福田幸司、JICA)
    • ASEAN諸国の経験共有:NDC目標達成に向けた途上国アプローチと能力強化ニーズ
      (タワチャイ・サエンカムスック、タイ温室効果ガス管理機構(TGO)気候変動国際技術研修センター(CITC))
    • ベトナムによるNDC目達・進捗管理に係る国家トラッキングシステム構築の経験
      (ルオン・クァン・フイ、ベトナム天然資源環境省(MONRE))
    • NDC目達・進捗管理 への見解
      (ステファノス・フォティウ、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP))
    • メコン地域におけるNDC実施のためのMRV枠組みワークショップの教訓
      (アンチャ・スリ二ヴァサン、アジア開発銀行(ADB))
    • PaSTIプログラムからの教訓と提言
      (中嶋力、海外環境協力センター(OECC))

討議・質疑応答

  • 11:30-12:25 プレゼンテーションと討議

セッション2:地方自治体における透明性のキャパシティビルディングの経験について

  • 11:30-12:25 プレゼンテーションと討議

    モデレーター:ルオン・クアン・フイ ベトナム天然資源環境省 松尾ゆい JICA SPI-NAMAプロジェクト長期専門家

    • 都市レベルでの透明性拡大の取組についての紹介

      (市原 純、JICA SPI-NAMA長期専門家、総括役)

    • 将来のホーチミン気候変動アクションプラン(HCMC CCAP)策定にむけて - カーボン・レポーティング制度設計を通じた省エネ対策の強化

      (マイ・トゥアン・アイン、ホーチミン市天然資源環境局、課長)

    • バンコク都気候変動マスタープラン2013-2023の実施進捗に係る総合レビューの結果について

      (テムシリ・チョンプンポン バンコク都環境局 課長)

    • 横浜市における気候変動対策

      (黒水公博 横浜市地球温暖化対策実行本部)

    • ADBによるアジア都市における取組の経験

      (アンチャ・スリニバサン ADB気候変動専門官)

  • 11:25-11:30 質疑応答とまとめ

登壇者

  • 村上 裕道 国際協力機構(JICA) 地球環境部次長
  • 福田 幸司 国際協力機構(JICA) JICA技プロ「東南アジア地域低炭素・レジリエントな社会構築推進能力強化事業」総括役、長期専門家
  • タワチャイ・サエンカムスック タイ温室効果ガス管理機構(TGO) 気候変動国際技術研修センター(CITC)部長
  • ルオン・クワン・フイ ベトナム天然資源環境省(MONRE) 気候変動局課長
  • ステファノス・フォティウ 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) 環境開発局局長
  • アンチャ・スリ二ヴァサン アジア開発銀行(ADB) 気候変動主席スペシャリスト
  • 中島 力 海外環境協力センター(OECC) 研究員
  • 市原 純 国際協力機構(JICA) JICA技プロ「SPI-NAMA」総括役、長期専門家
  • マイ・トゥアン・アイン ホーチミン市 天然資源環境局課長
  • テムシリ・チョンプンポン バンコク都 環境局部長
  • 黒水 公博 横浜市 地球温暖化対策本部

セッションサマリー

セッション1では、パリ合意13条とカトビツェルールブック(MPGs)の要件を踏まえ、NDC実施の進捗管理の在り方についてASEAN参加国の進捗と管理のための実務的課題や能力ニーズを抽出した。各国発表より、タイ・ベトナムは「透明性」の定義・国内解釈が必要となること、進捗管理の実効性ある実践には国内法的基盤、体制、技術ガイダンスが不可欠であることが確認された。課題として、GHG削減効果を直接測れない施策の指標開発、セクター別データ収集等が残り、精度向上にはよりシステマチックな体制の確立が必要である旨説明。またCOP決定に基づく国際要請の速度と、国内法体系の性質・改訂速度にはギャップがあり、柔軟性が求められる点が指摘された。

開発援助機関からは、NDC実施と進捗管理にノンステートアクター関与、財務フローの追跡(特にASEAN各国が提示する2段階目標―条件付き(国際支援付き)と条件なし(国内努力)の各々の透明性の必要性)、方法論の統一・共有(進捗管理の方法論開発を競争環境に置くべきでない)が重要である点を指摘。またパリ合意6条がNDC実施を加速化させる役割を有する点に触れたうえで、ASEAN諸国が示すGHG排出構成の多様性が、NDCの進捗管理の在り方にも影響する点に言及がなされた。またパリ協定の透明性の要件(緩和、適応、実施手段)に対する包括的な対応の在り方、NDCと透明性の実施に要する法体系、人材開発・維持が共通課題である点を指摘した。PASTIからは環境省事業からJAIF予算に基づくASEAN地域の民間セクターによる緩和活動を主眼とし、効果の捕捉・トラッキングの方法論開発を目指している旨説明がなされた。

全体討議では、2030年開発アジェンダ/SDGsの進捗モニタリングとして自発的国家レビュー(VNR)が並走しており、国によってローカルレベルにまで落とし込んだ進捗管理(VLR)が展開されるなど両者の調和の必要性が強調されたほか、NDC実施のトラッキングの対象(アクションかアウトカムか、資金フローか)を正しく設定する必要性が示され、現状で観察されるステークホルダ間の理解度の差を埋めていく追加的な努力の必要性が確認された。SDGレビューとの親和性についてはモデレータより、SDG(外務省)とNDC(気候変動窓口機関)の所管に鑑み、省庁連携・情報融通が求められる点を指摘した。

セッション2では、アジアの地方自治体、とりわけメガシティであるベトナム・ホーチミン市およびタイ・バンコク都における気候変動緩和の透明性の確保・向上に関するキャパシティビルディングの取組について、最新の取組が紹介された。

ホーチミン市においては、現行の気候変動アクションプラン(HCMC CCAP)を更新を行い2021~2030年における緩和行動のスケールアップを目指しており、その一環として既存の省エネ報告制度を強化する形でGHGの排出量についても報告を行うカーボン・レポーティング制度の設計を行うことの取組を紹介した。

バンコク都においては、気候変動マスタープラン2013-2023の中間レビューに当たる総合レビューを実施した経験について共有を行った。対象となる4つのセクターにおける年度毎のGHG排出実績を積み上げ、マスタープランにおいて掲げた緩和目標の達成状況について確認を行う定量的評価を行っている。総合レビューの結果によれば、交通セクターやエネルギーセクターにおける緩和対策の効果が大きいことが明らかとなったことについても紹介が行われた。

横浜市においては、温暖化対策実行計画を基に、GHG削減を進めており、2020年には22%、2030年は30%、2050年には炭素中立の実現を目標として掲げている(すべて2013年比)。これらの取組はスマートシティ開発等のアプローチを用いまた持続可能な開発目標(SDGs)の実現等の取組とも合わせて進めていくこととされているとのことが紹介された。

ADBはアジア諸国の都市に対して、低炭素インフラ開発等の支援を行っており、都市のトランスフォーメーションを促す取組に重点を置いていることが強調された。

総括的議論として、市民や企業に近い地方自治体が緩和の取組を行うことの重要性、またそれを定量的な形で確認をするための透明性の取組について萌芽的であるものの重要性が増していることが指摘された。今後JICAやADBによる支援の取組で、都市における気候変動対策透明性についても経験が蓄積され教訓が共有されることについて期待するとのコメントがあった。

2019.12.07 SAT のタイムテーブル