ブルーカーボン-最新の科学知見と政策
主催者
- 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI-SPF)
- コンサベーション・インターナショナル
- 国際自然保護連合(IUCN)
- ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC-UNESCO)
- グローバル・オーシャン・フォーラム(GOF)
- ブルーカーボン・イニシアティブ
イベント概要
海洋は、人為起源の温室効果ガスの吸収・固定に大きな働きをするとともに、海水温上昇や海面上昇、酸性化を通して気候変動による大きな影響を受けている。一方、2015年に採択されたパリ協定の着実な実施に向けて、海洋分野を含めて、各国のNDCの促進が求められている。
これら問題に対して、ブルーカーボンをテーマに、“Oceans Action Day(GCA event)”の一環として、サイドイベント「ブルーカーボン-最新の科学知見と政策」(主催:笹川平和財団海洋政策研究所ほか)を開催した。
「海洋で生息する生物によって吸収・固定される炭素」(UNEP、2009)と称されるブルーカーボンは、海洋からの緩和策として注目されている。本イベントでは、最新の科学的・政策的な理解に資する書籍 ”Blue Carbon Primer(2018)” 及び“Blue Carbon in Shallow Coastal Ecosystems(2018)”の執筆者を招いて、科学的知見と政策について集中的に議論が行われた。モデレータである白山義久氏及びEmily Pidgeon氏の導入に続いて、港湾空港技術研究所の桑江朝比呂氏がパネリストとして登壇し、浅海域における生態系のブルーカーボンとしての潜在性について最新の科学的知見をもとにした発表が行われた。さらに、Stephen Crooks氏からは、ブルーカーボンとしての生態系に関する新たな研究や、社会科学的なアプローチ、さらにブルーカーボンの低炭素戦略への統合などへの期待が述べられた。
登壇者
- 前川 美湖 笹川平和財団海洋政策研究所 主任研究員
- 小川 眞佐子 環境省地球環境局 参事官
- 角南 篤 笹川平和財団海洋政策研究所 所長
- 白山 義久 海洋研究開発機構(JAMSTEC) 特任参事
- Emily Pidgeon コンサベーション・インターナショナル (CI) 海洋気候プログラム長
- Stephen Crooks ブルーカーボン・イニシアティブ 科学作業部会共同議長
- 桑江 朝比呂 港湾空港技術研究所 沿岸環境研究グループ長
- Gavin Singleton Dawul Wuru Aboriginal Corporation プロジェクト・マネージャー
- Kirsten Isensee ユネスコ政府間海洋学委員会 プログラム・スペシャリスト
配布資料
セッションサマリー
- アメリカ、オーストラリア、ケニア、日本、インドネシアなど、世界各国でブルーカーボンに関する取組が行われている。
- 近年の研究によりブルーカーボンによる炭素固定量の定量化も進んでおり、緩和策としての貢献が期待される。
- 海草はブルーカーボンとしての潜在性を秘めており、将来の緩和策の鍵となる。
- 一方で、不確実性の課題も大きく、科学データの蓄積やモデル構築などにより不確実性を低減する必要がある。
- ブルーカーボンはオーストラリアの先住民にとって新しい概念である。持続可能な環境保全プログラムを生み出す機会を提供している。
- 政策的には、自然科学と経済評価を合わせることや、地域のステークホルダーと協働していくという視点も重要。
- ブルーカーボンは海洋の持続可能な開発のためのアクションへの良いアプローチである。持続可能な形で投資が行われる必要がある。
その他残したいメッセージやイベントにおける成果
イベントの詳細については、下記サイトも参照ください。
https://www.spf.org/_opri/news/20181213.html