イベントスケジュール

NOV 6 MON
NOV 7 TUE
NOV 8 WED
NOV 9 THU
NOV 10 FRI
NOV 11 SAT
NOV 13 MON
NOV 14 TUE
NOV 15 WED
NOV 16 THU
NOV 17 FRI
NOV その他

JCM / Technology

15:00 - 16:30

タイトル

NDCとSDGsとのリンケージ - シナジーとトレード・オフ

イベント概要

パリ協定に基づいて温暖化対策を推進し、脱炭素社会への変遷を確実なものとするには、長期的な目標と短・中期の具体的な政策目標とのリンクが重要である。2017年8月現在、155件(182ヵ国)の「自国が決定する貢献(NDC)」がUNFCCCに提出されている。また、2015年には、17の持続可能な発展目標(SDGs)からなる2030年アジェンダが採択された。気候変動は最も重要かつ喫緊なSDGの一つである。なぜなら、現在の行動が人類と環境の未来に重大かつ継続的な影響を与えるからである。加えて、気候変動に取り組む行動の多くは、手ごろな価格のクリーンエネルギーへのアクセスの確保や、レジリエントなインフラの構築など、他のSDGの達成にも役立つ。

本サイドイベントは、NDCのもとでの分野別、具体的な気候変動対策や、それらの対策が達成される見込み、また、分野別の対策とSDGsとの協働・相乗効果や対立点などを提示し、今後のNDCの達成、また目標の引き上げに貢献しうる情報の共有と、更なる議論の喚起を行うことを目的としている。

キーワード

自国が決定する約束(NDC)、SDGs、長期戦略

登壇者
  • 甲斐沼美紀子(地球環境戦略研究機関 研究顧問)
  • ステファン・レッテンボーマー(ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所フューチャー・エネルギー・アンド・モビリティ・ストラクチャーズ ディレクター)
  • リザルディ・ボアー(ボゴール農科大学東南アジア太平洋気候変動リスク管理センター所長)
  • ヤン・ブリアンド(大幅な炭素排出削減に向けた道筋プロジェクト 交通ワーキンググループ コーディネーター)
  • エリック・ザスマン(地球環境戦略研究機関 持続可能性ガバナンスセンター)
主催者
  • 地球環境戦略研究機関(IGES)
最終プログラム

基調講演(20分):冊子「気候行動と持続可能な開発目標(SDGs)との相関」の紹介

  • 甲斐沼美紀子(地球環境戦略研究機関 研究顧問)

プレゼンテーション1(15分):変化する社会におけるクリーングロースとイノベーション

  • ステファン・レッテンボーマー(ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所フューチャ
  • エネルギー・アンド・モビリティ・ストラクチャーズ ディレクター)

プレゼンテーション2(15分):途上国での発展計画策定過程における気候行動とSDGsとのシナジーの構築

  • リザルディ・ボアー(ボゴール農科大学東南アジア太平洋気候変動リスク管理センター所長)

パネルディスカッション(40分): 気候行動と持続可能な開発目標(SDGs)との相関を如何に進めていくか

  • ヤン・ブリアンド(持続可能開発・国際関係研究所(IDDRI) 大幅な炭素排出削減に向けた道筋プロジェクト(DDPP) 交通ワーキンググループ コーディネーター)
  • エリック・ザスマン (地球環境戦略研究機関 持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダー)
  • リザルディ・ボアー(ボゴール農科大学東南アジア太平洋気候変動リスク管理センター所長)
  • ステファン・レッテンボーマー (ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所フューチャー・エネルギー・アンド・モビリティ・ストラクチャーズ ディレクター)

セッションサマリー

このサイドイベントは、NDCのもとでの分野別、具体的な気候変動対策や、それらの対策が達成される見込み、また、分野別の対策とSDGsとの協働・相乗効果や対立点などを提示し、今後のNDCの達成、また目標の引き上げに貢献しうる情報の共有と、更なる議論の喚起を行うことを目的として開催された。

まず、IGESの甲斐沼美紀子研究顧問が、冊子「気候行動と持続可能な開発目標(SDGs)との相関」を紹介した。この冊子は、NDC目標の引き上げに貢献すると思われる情報の提供を目的として、NDC達成のための具体的な気候変動対策を分野別に取り上げ、それらの対策が達成される見込みとともに分類・整理している。さらに、分野別の対策とSDGsとの関連を調べ、協働・相乗効果や対立などを整理している。現在、各国から提出されているNDCを足し合わせても2℃目標の達成に及ばないことが指摘されており、NDCの野心度を如何に上げていくかが喫緊の課題であるが、甲斐沼研究顧問は、NDCとSDGsとのシナジーを強め、また、各主体による気候行動を奨励していくことが効果的であると述べた。

次に、WIのステファン・レッテンボーマー ディレクターは、加工業における脱炭素化戦略について、資源効率や循環経済のみならずプロセス全体での温室効果ガス排出削減の効率を考えるべきと述べた。また、2℃目標に合致した、気候変動、エネルギー、イノベーション、資源循環と、トレード・成長戦略とを包含した統合的な産業政策が必要であるとし、関係するステークホルダーの関与が不可欠であると述べた。

ボゴール農業大学のリザルディ・ボアー教授は、途上国での発展計画策定時に、開発課題(貧困撲滅や飢餓の克服)が優先されるところ、如何に気候行動とのシナジー・同期をはかり、また、統合的なプロセスとして円滑に実施していくか、インドネシアの森林管理を例に引いて説明した。こうした統合的な措置をとることで、より広範な資金ソースへのアクセスが可能となると述べた。また、ボアー教授は、この過程で関係者との対話を促進していく際に、科学的な知見に基づいたツールを用いることが有効であると述べた。

IDDRIのヤン・ブリアンド交通ワーキンググループ コーディネーターは、IDDRIを中心として、日本、米国、英国、中国など15カ国の研究チームが参画している大幅な炭素排出削減に向けた道筋プロジェクト(DDPP)からの示唆として、エネルギーや技術といった要因以外に、人口・経済発展、人口分布、生活空間とライフスタイルの構成、インフラ、モビリティ・サービス、都市計画などを考えていくべきであると述べた。

また、IGESのエリック・ザスマン持続可能性ガバナンスセンター リサーチリーダーは、野心度を高めていくために、NDCと大気汚染・健康のリンクをより強めていくべきであるとし、インドネシア・バンドンで行われている気候変動と大気汚染への統合的なアプローチや、緩和行動においてよりジェンダーに注目したADBのプロジェクトを紹介し、気候行動とのコベネフィット、マルチベネフィットを追及していくことが不可欠であると述べた。


キーメッセージ
  • パリ協定に基づいて温暖化対策を推進し、低炭素・脱炭素社会への移行を確実なものとするには、長期的な目標・戦略と短・中期の具体的な政策目標とのリンクが重要である。
  • すべての国のNDCを足し合わせても、二度目標の達成には届かない。故にNDCの野心度を如何に上げていくかが喫緊の課題であるが、その際、SDGsとの相関を強めていくこと、また、また、各主体による気候行動を奨励していくことが効果的である。
  • 例えば、気候コミットメントと他の発展優先課題との連携を強めていけば、それだけ資金の獲得や政治的なサポートを得られやすくなり、その結果としてより大幅な温室効果ガス削減に貢献することができると考えられる。

報告者所属・名前

地球環境戦略研究機関 石川智子


写真

Copyright Ministry of the Environment Government of Japan. All rights reserved

Top