2023.12.4 Mon.

13:00 - 14:15

Unlocking capital for net-zero in Asia and beyond: challenges and solutions on transition finance

主催者

環境省、経済協力開発機構（OECD）

セミナー概要

概要

アジアは気候変動に対する脆弱性に直面している。気温の上昇、熱波、食糧、暴風雨の頻度と厳しさの増加、海面上昇は、気候変動緩和策と適応策を講じない限り、この地域の成長と発展にますます困難をもたらすことが想定される。同時に、アジア地域における温室効果ガス排出量は急速に増加している。電力と熱の生産が最大の排出源であり、製造業がそれに続いている。排出量が多く、排出削減が困難なセクターの脱炭素化を加速させるためには、アジアにおける脱炭素移行のための資金の確保が急務である。近年、アジアをはじめ、様々な地域において、国や地域ごとの移行タクソノミー、産業セクターごとの技術ロードマップ、トランジションボンドやローン等の脱炭素移行関連金融商品の基準など、政府や市場の枠組みが整備されてきた。
環境省とOECDが共催する本イベントでは、パネリストが昨年来のアジアにおけるトランジションファイナンス政策・手法の開発に関する主要な進展と進捗状況について議論する。ディスカッションでは、政策立案者や市場参加者がベストプラクティスや直面する課題を共有し、カーボン・ロックインを回避するメカニズムを強化する方法について、パネリスト間で議論することを予定している。
本イベントはジャパンパビリオン会場においてライブ開催されるほか、OECD COP28バーチャル・パビリオンにおいてもライブストリーミングされる。

プログラム

開会挨拶 -5分-

松澤 裕 環境省 地球環境審議官

パネルディスカッション -40分-

• 池田 賢志　金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー
• 廣渡 紀美代 三菱重工業株式会社 財務企画総括部 事業支援グループ 主席部員
• 稲垣 精二　第一生命保険株式会社 取締役会長
• Mathilde Mesnard Deputy Director, Environment Directorate, OECD
• Gillian Koh Tan Assistant Managing Director and Chief Sustainability Officer, Monetary Authority of Singapore
• Justin Wu Managing Director, Co-Head of Climate Change Asia Pacific, HSBC

質疑応答 -15分-

すべてのパネリスト

パネルディスカッション -10分-

すべてのパネリスト

閉会挨拶

池田 賢志 / 金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー

登壇者

現地登壇者

• 松澤 裕 / 環境省 地球環境審議官
• 池田 賢志 / 金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー
• 廣渡 紀美代 / 三菱重工業株式会社 財務企画総括部 事業支援グループ 主席部員
• 稲垣 精二 / 第一生命保険株式会社 取締役会長
• Mathilde Mesnard / Deputy Director, Environment Directorate, OECD
• Gillian Koh Tan / Assistant Managing Director and Chief Sustainability Officer, Monetary Authority of Singapore
• Justin Wu / Managing Director, Co-Head of Climate Change Asia Pacific, HSBC

関連リンク

• アーカイブ映像についてはこちらのページから視聴可能です

メッセージや成果

トランジションファイナンスに関する重要性について、規制当局、国際機関、金融機関、企業が各々の立場から強調すると共に、脱炭素の実現に向けた現在の取組、また、課題や今後の展望について共有・議論された。
最近のトランジションファイナンスの取組として、様々なアクションが紹介された。具体的には、シンガポール金融管理局による、Finance for Net Zero Action Plan を初めとするトランジションファイナンスを支える様々な政策、投資家・金融機関（第一生命及びHSBC）によるエンゲージメント等を通じた投融資先のトランジションの推進、2040年までにカーボンニュートラルを目指すという宣言（スコープ1、2、3をカバー）の発表やトランジションボンド発行の経験等である。また、OECDは報告書“Mechanisms to Prevent Carbon Lock-in in Transition Finance ”を発表し、トランジションファイナンスにおいてカーボンロックインを防ぐメカニズムについて共有した。
また、今後の課題として以下が指摘された。

• 確立しているが経済的に課題がある技術について、合理的なコストでビジネス拡大を実現する枠組みを開発する必要性。
• トランジションファイナンスの比較可能性と相互運用性の向上。
• 金融機関やバリューチェーンから要請を受けている、中小企業のサステナビリティに関する取組の推進。
• 国・セクター別の脱炭素ロードマップの策定。
• 広い意味を持つグリーンウォッシュについて、一般論ではなく、内容を特定して議論することの必要性。
• 企業の移行計画に関する基準や枠組みの必要性。
• 情報開示の要求度合いに関する投資家と企業間のコミュニケーション促進。