海洋と気候の連鎖 ―海洋・気候行動計画(ROCA)の主要課題に取り組む
主催者
- 笹川平和財団海洋政策研究所(OPRI-SPF)
- グローバル・オーシャン・フォーラム(GOF)
- オセアノ・アズール財団
- ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC-UNESCO)
イベント概要
海洋は、人為起源の温室効果ガスの吸収・固定に大きな働きをするとともに、海水温上昇や海面上昇、酸性化を通して気候変動による大きな影響を受けている。一方、2015年に採択されたパリ協定の着実な実施に向けて、海洋分野を含めて、各国のNDCの促進が求められている。
これら問題に対して、マラケシュ・パートナーシップに位置づけられる海洋・気候行動計画(ROCA)の主要課題をテーマに、“Oceans Action Day(GCA event)”の一環として、サイドイベント「THE OCEANS AND CLIMATE NEXUS」(主催:笹川平和財団海洋政策研究所ほか)を開催した。
本イベントでは、ユネスコ政府間海洋学委員会のVladimir Ryabinin事務局長や笹川平和財団海洋政策研究所の前川美湖主任研究員などを議長として、次の点に注目した議論を行った。「1.新しい海洋科学の知見をどのようにUNFCCCのプロセスに位置づけるか」、「2.海洋における適応策と環境移民問題」、「3.海洋分野に関わる各国のNDCの促進」。
登壇者
- 角南 篤 笹川平和財団海洋政策研究所 所長
- Vladimir Ryabinin ユネスコ政府間海洋学委員会 事務局長
- Hans-Otto Pörtner IPCC ワーキンググループ2 共同議長
- Loreley Picourt 海洋気候イニシアチブ 代表
- Kirsten Isensee ユネスコ政府間海洋学委員会 プログラム・スペシャリスト
- Stephen Crooks ブルーカーボン・イニシアティブ 科学作業部会共同議長
- 前川 美湖 笹川平和財団海洋政策研究所 主任研究員
- Peter Ricketts Acadia University 学長
- Espen Ronnenberg 太平洋地域環境計画事務局 (SPREP) 気候変動参与
- Atle Solberg 災害移転プラットフォーム(PDD) 部門長
- Dina Ionesco 国際移住機関(IOM) MECC部長
- Tamara Thomas The Nature Conservancy 海洋政策アドバイザー
- Rémi Parmentier Varda Group Director
- Eduardo Silva チリ外務省
- Anders Jessen 欧州委員会 海事・漁業局長
- Jonathan Taylor 欧州投資銀行 副総裁
- Biliana Cicin-Sain Global Ocean Forum 代表
- Torsten Thiele Global Ocean Trust 上席研究員
- Georg Børsting ノルウェー外務省 政策部長
配布資料
セッションサマリー
- 1.5℃と2℃の増加による違いは、極端な気象現象など、明確な影響もたらす。海洋と気候変動の緩和・適応に対する働きについて、ナレッジのギャップをまだ埋める必要がある。
- 国連総会は2021~2030年を「持続可能な開発のための海洋科学の10年(Decade on Ocean Science for Sustainable Development)」と宣言した。海洋資源を保全するためには、一般社会における理解促進、また、地域社会に働きかけて科学的知識を政策アクションにつなげる必要がある。
- 2018年には1800万人が環境変化によって余儀なく移転することになった。強制移転については、適応、緩和、損失と損害、資金調達メカニズム、および能力構築が重要なポイントとして挙げられる。強制移転は「海洋と気候の連鎖」ではますます重要な問題となっており、より良いパートナーシップやアクションの加速が必要である。
- ブルーカーボン生態系を各国の国別インベントリ報告書や管理戦略に入れることを勧める。
- チリ政府は海洋を二酸化炭素吸収源とするなど、海洋のアクションをNDC(国が決定する貢献)に入れている。
- 革新的なブルーエコノミーに関する取組みも官民パートナーシップによるコラボレーションを推進することができるのではないか。
その他残したいメッセージやイベントにおける成果
イベントの詳細については、下記サイトも参照ください。
https://www.spf.org/_opri/news/20181213.html