最終プログラム
フレーミング・プレゼンテーション:
低炭素技術移転を通じた持続可能な開発目標(SDG)の達成に向けて
- 竹本 和彦国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS) 所長/海外環境協力センター(OECC) 理事長
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セッション1:主要プレイヤーによる実例の紹介
カンボジアにおける地球環境ファシリティ(GEF)プロジェクトの形成:「環境と調和した技術移転(TEST)」方法論プロジェクトを通じた、生産性と気候変動緩和に資する低炭素開発
- スム・ティー カンボジア環境省 気候変動課長
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インドネシアにおける二国間クレジット制度(JCM)の形成と持続可能な低炭素成長に向けた展開
- ディッキー・エドウィン・ヒルダルト インドネシアJCM事務局長
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「環境未来都市」横浜の都市づくりと都市間連携
- 黒水 公博 横浜市 温暖化対策統括本部 副本部長
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低炭素技術の移転を促すためのOECCの活動:ベトナムにおけるプロジェクト形成
- 小柳 百合子 海外環境協力センター(OECC) 研究員
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低炭素技術調査によるベトナムNDCの効率的な促進
- 加藤 真 海外環境協力センター(OECC) 主席研究員
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セッション2:ディスカッション・セッション
ファシリテーター
討議者:
- ディッキー・エドウィン・ヒルダルト インドネシアJCM事務局長
- スム・ティー カンボジア環境省 気候変動課長
- 黒水 公博 横浜市 温暖化対策統括本部 副本部長
- 加藤 真 OECC 主席研究員
- 小柳 百合子 OECC 研究員
セッションサマリー
- 冒頭、竹本 UNU-IAS所長/OECC理事長により、SDGと気候変動対策が連動する事例として、再生可能エネルギープロジェクトによるコミュニティの開発への貢献や、円滑かつ柔軟な協力を可能にする都市間連携に言及され、本イベントの骨格が提示された。
- ティー カンボジア環境省気候変動課長は、実施に向け策定中のカンボジアNDCで主な対象となるセクターに言及するとともに、国内用にブレイクダウンしたSDG目標13「気候変動」を紹介した。GEFで登録されたTEST方法論プロジェクトを通じて、環境の便益のみならず経済的・社会的便益も得られると強調した。これら3つの便益は、国際協力を得られた場合の条件付き目標としてNDCで掲げる工場の取組を支援するだろう。
- ディッキー インドネシアJCM事務局長は、インドネシアJCM事務局はJCMが持続可能な開発(SD)に貢献すると確信していると力説した。インドネシアでは29のJCMプロジェクトに対して合計約170万円の投資があり、うち130万円は国内のプロジェクト実施者による投資であった。
- 黒水 横浜市温暖化対策統括本部副本部長は、横浜市が取り組む環境未来都市の考え方について言及するとともに、バーチャルパワープラント構築事業、水素施策など温暖化対策の様々な取組を紹介した。また、JCMなどを効果的に活用しながら複数のアジアの都市の温暖化対策に貢献している具体的な事例であるY-PORT事業(横浜市の国際技術協力事業)について説明した。
- OECCはプロジェクト実施事業者を支援し、ベトナム全土にアモルファス変圧器プロジェクトを水平展開した実績がある。本経験から得られた知見として、小柳 OECC研究員により、JCMを活用して省エネルギー技術を導入した後、段階的に自律的成長を可能にするメカニズムが共有された。プロジェクトの成功を見た他の電力会社も、追随してアモルファス変圧器を導入し始めた。
- 加藤 OECC主席研究員は、ベトナムNDCの低炭素技術調査でフロンを含む100の緩和オプションを新たに提案したと紹介した。合計143の緩和オプションのうち、61の緩和オプションは障壁が比較的低いため、これらに優先的に着手することで、既存のNDCよりも野心的に実施することができる。
- イベント参加者との質疑を通じて、市場メカニズムへSDを統合する期待感が醸成された。竹本 UNU-IAS所長/OECC理事長は、これまでJCMが他の仕組みに先駆けて多くの便益をもたらしてきたことを評価し、今後はJCMを通じてSDGを達成していく段階である、と述べてイベントを締めくくった。
キーメッセージ
- 低炭素技術の移転や持続可能な開発を促すにはJCMが有効なツールのひとつであり、途上国のニーズに応えるものである。
- JCMのような二国間制度やGEFをはじめとする多国間基金を活用して技術移転を促進することで、資金を多様化することができ、NDCの野心を引き上げつつ効率的な達成に寄与する。
- 実際にインドネシアやベトナムでは、JCMを呼び水としてパートナー国企業による投資や行動が促され、持続可能な発展サイクルが産まれつつある。
報告者所属・名前
海外環境協力センター(OECC)小柳 百合子
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