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MON
13:00-14:30
タイトル | IPCCインベントリガイドラインにおける人工衛星データ利用に向けた取り組み |
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概要 | COP21にむけ各国はGHG排出削減目標を提出した。さらに、COP21において採択されたパリ協定では、提出した目標に向けて取り組むことや、排出量の報告を行うことが義務付けられた。この排出量の算出においてはIPCCにて作成されたGHGインベントリガイドラインを参照することになるが、そのガイドライン改訂が2019年に行われる。そこで、ガイドライン改訂の際に衛星観測データを用いたインベントリの検証に関する記載が追加されることを目指し、衛星によるGHG観測データの有効性とその活用方法について報告、及び議論等を行う。 |
主催/共催 | 宇宙航空研究開発機構(JAXA) / 環境省 / 国立環境研究所(NIES) |
プログラム |
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セッション サマリー |
パリ協定では、各国が提出したGHG(Green House Gases)排出削減目標に向けて取り組むことや、排出量報告が義務付けられている。この排出量の算出においては、IPCCにて作成されたGHGインベントリガイドラインを参照することになるが、本ガイドラインの改訂が2019年に予定されており、環境省は国立環境研究所やJAXA等の関係機関と連携して、本改定で衛星データを用いたインベントリ検証に係る記載が追加されることを目指している。本イベントでは当該目標を念頭に置き、衛星データの有効性とその活用法について報告・議論を行った。 冒頭JAXA木下課長より衛星一覧スライドを用いてJAXAの活動を紹介した後、GOSAT紹介動画を放映。その後、基調講演として竹本室長よりGOSATの主な成果の紹介があり、後継機のGOSAT-2においては、人為起源の温室効果ガス排出量の観測精度を高め、パリ協定の下で、各国の温室効果ガス排出インベントリの検証への活用を目指していくことが述べられた。 続くテーマ1では、IPCC/TFI共同議長の田辺氏から、2006年版のガイドラインにおいては衛星データのアクセスの困難さ等の課題が指摘されていたが、現在では解析技術やデータ提供法の向上、新規衛星の打ち上げ等で状況が改善し、GHG観測・検証だけでなく土地利用把握についても衛星データの利用が検討されていると紹介された。GCOSのSimon氏はGHG観測には衛星データと地上観測データの統合や人為起源排出の明確化が必要だと指摘。将来的に各国インベントリの信頼性向上や未発見排出源の特定がなされるよう、国際的に検討していかなければならないとした。更にテーマ2ではNIESの松永衛星観測センター長からは、近年続々と立ち上がっているGHG関連ミッションでデータギャップが低減しており、衛星データ利用技術も向上していることが説明されるとともに、大気輸送モデルの精緻化やスパコン等のリソース確保、自然起源GHG観測等の必要性も唱えられた。 テーマ3においては、JAXAの塩見主任研究開発員よりGOSAT概要及びGOSAT-2の機能・開発スケジュールの紹介等があり、NASAのLesley氏からはOCO-2の主目的はGHGの収支計測であり、後継機のOCO-3(ISS搭載予定)では、その他ISS搭載センサの生態系データと併せて二酸化炭素の収支とその変動要因を総合的に観測するとの紹介があった。CNESのPascale氏からはIASI、MicroCarb、MERLINのミッション概要紹介の後にJAXAやNASA、UKSAとの協力でこれらのミッションを進めていくとの発言があった。 質疑応答では、地上観測との検証・統合の必要性や多様なモデル、気候・植生データを組み合わせた信頼性の高いデータを提供していくことの重要性が確認された。 |
キーメッセージ | 今後も各国で続々とGHG関連ミッションが立ち上がり、データ数やセンサ機能の向上などで衛星データを活用しようという運気は高まっている。(IPCC/TFIにおいても衛星・リモセンデータの利用について議論されている。) しかしながら、地上観測との補完やデータ精度の担保、大気輸送モデルの精緻化等、課題は残っている。また、土地利用変化や植生データを取り込んだ包括的な炭素収支把握の必要性なども指摘された。 これらの課題の解決のためにも、宇宙機関間や既存の国際枠組み間における連携を図っていくことを確認した。 |
各種資料 | イベントフライヤー(英文)(PDF・371KB) 発表資料 1(英文)(PDF・787KB) 発表資料 2(英文)(PDF・906KB) 発表資料 3(英文)(PDF・166KB) 発表資料 4(英文)(PDF・2,089KB) 発表資料 5(英文)(PDF・772KB) 発表資料 6(英文)(PDF・2,941KB) 発表資料 7(英文)(PDF・921KB) 発表資料 8(英文)(PDF・1,129KB) |
イベント風景 | |
報告者 | 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 田尻大介 |