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17:15-18:00

北九州市の「都市間連携」に基づくJCMを活用した低炭素都市形成支援

北九州市環境局アジア低炭素化センター、株式会社NTTデータ経営研究所

イベント概要

北九州市は、インドネシアのスラバヤ市、ベトナムのハイフォン市、タイのラヨン県、そしてマレーシアのイスカンダル地域と都市間連携プロジェクトを実施している。本イベントでは、都市間連携を行いながら二国間クレジット制度(JCM)の枠組みを活用してきた北九州市のプロジェクトを紹介する。本プロジェクトの背景やプロジェクト概要、本プロジェクトを通じて相手国が獲得した成果、ならびに低炭素都市やグリーン成長の実現に向けた課題等について提示する。また、本プロジェクトの面的拡大を目指した今後のプロジェクト計画等についても紹介する。

プログラム

  1. 都市間連携を通したアジア都市の低炭素化
    石田謙悟 北九州市環境局環境国際戦略担当理事
  2. 質疑応答
    石田謙悟 北九州市環境局環境国際戦略担当理事
    園順一 北九州市環境局国際戦略部アジア低炭素化センター課長

セッションサマリー

セッションでは石田氏から2010年に開設したアジア低炭素化センターを通じて実施している、「北九州モデル」を活用したアジア諸都市における北九州市の低炭素化の取組が紹介された。「北九州モデル」は北九州市における公害克服から環境都市へ至る経験やノウハウを取りまとめたもので、廃棄物、エネルギー、上下水道、公害防止の4分野を対象としている。

また、北九州市の取組のひとつとして環境省が支援するJCMの案形形成調査を活用して「都市まるごとの低炭素化」の推進事例についても紹介があった。現在、このスキームのもとで北九州市は、スラバヤ(インドネシア)、ハイフォン(ベトナム)、イスカンダル-パシグダン(マレーシア)、ラヨン(タイ)の4都市における連携事業を展開している。石田氏は、過去2年の事業に基づき、スラバヤで商業ビルにおける高効率空調システムの導入事業が進んでいること、ハイフォン市で「北九州モデル」を活用した同市の「グリーン成長推進計画」策定を支援するとともに、この計画に基づいて鋳物産業の石炭炉を高効率な電炉を導入し、省エネ効果とともに耐久寿命の長期化を図る事業に取り組んでいることを紹介した。

プレゼンテーションの最後に石田氏は、都市間連携に基づいた事業のメリットとして、(a) JCM適用によりコスト面から躊躇していた優れた低炭素技術の導入が可能となる、(b) 途上国の自治体にとっては官民連携(PPP)の民間活力で、より少ない行政コストで目的の達成が可能となる、(c) CO₂削減と同時に、汚染の緩和や生活の質の向上につながるというコベネフィットが望める、(d) 都市間連携により、長期的なフォローアップが期待できるといった点を挙げた。

発表では、最後に、北九州市の都市間連携の今後の展望として、スラバヤ市やハイフォン市の実績を踏まえ、“都市まるごと低炭素化”のモデルを構築し、他のアジア諸国の都市へ普及を図るなど、今後もアジア都市の低炭素化に寄与していきたいとの希望を述べた。

質疑応答では、北九州市がアフリカで協力実績などについての質問があり、ケニアのナイロビで廃棄物管理に関する支援が行われていることが紹介された。

キーメッセージ

都市間の信頼関係をもとづいた都市の低炭素化にむけた都市間連携を通じて、具体的な温室効果ガス削減につながる事業の推進、その結果としての「都市まるごと低炭素化」を図ることができる。北九州市では、アジアの4都市でJCMスキームのもとで都市間連携事業を実施しており、これらの事業に基づいて構築したモデルをさらに他のアジア都市に展開し、アジア都市の低炭素化に引き続き貢献していく。

イベント風景

報告者

北九州市環境局国際戦略部アジア低炭素化センター課長 園順一