2023.12.9 Sat.
- 10:30 - 12:00
- GOSATシリーズ衛星による温室効果ガスと大気汚染観測の持続可能な開発への貢献
- 主催者
- 環境省/国立環境研究所/文部科学省/海洋研究開発機構
- セミナー概要
-
概要
気候変動のドライバーとしては、人工温室効果ガス(GHGs:二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O))の加速的な濃度増加が知られるが、オゾン(O3)やエアロゾルなどの短寿命気候強制因子(SLCFs)の変動も重要である。残余カーボンバジェットの評価や気候緩和政策の構築には、これらの物質の総合的な将来の作用を考慮する必要がある。本セミナーでは重要度の高いGHGs等の変化の把握に対し日本の衛星GOSATシリーズが担ってきた役割・貢献とその将来展望をまず議論する。具体的にはGHGの吸排出フラックスの評価に関する最新の科学的成果や国際協力、グローバル・ストックテイクへの貢献、二酸化窒素(NO2)も計測するGOSAT-GWで期待される成果や後継機の検討状況を紹介する。NO2などのSLCFsの把握は、GHGs排出量の高度な評価だけでなく、メタンの将来的な寿命の変化を把握するためにも重要となるなど、副次的な効果も大きい。また、SLCFsの削減は人間や植物の健康への利益、つまり気候変動対策とのコベネッフィットを生む面があり、その点に着目して持続可能な開発についても議論する。
プログラム
Opening address -5分-
松澤 裕 環境省・地球環境審議官Overview of GOSAT series contributions and the future projects -5分-
岡野 祥平 環境省・地球環境局総務課気候変動観測研究戦略室長GHG observations by GOSAT series satellites -5分-
佐伯 田鶴 国立環境研究所・主任研究員Introduction of SII-8 and follow-up projects for integrated monitoring -5分-
伊藤 昭彦 東京大学・教授/国立環境研究所・主席研究員Development of cost-efficient and transparent method to estimate CO2 emission using GOSAT satellite in Mongolia and Central Asia countries -5分-
渡邉 正孝 中央大学・機構教授Introduction of GOSAT-GW products and expected outcome -5分-
染谷 有 国立環境研究所・主任研究員Major roles of SLCFs (short-lived climate forcers) in the mitigation pathway -5分-
金谷有剛 海洋研究開発機構・地球表層システム研究センター長Regional emissions and removals of carbon dioxide (2000-2022), and cobenefits of biomass burning emission reduction for air pollution control -5分-
Prabir PATRA 海洋研究開発機構・上席研究員/総合地球環境学研究所 (RIHN)・教授Open panel discussion -45分-
下記"登壇者"参照Closing address -5分-
高附 彩 文部科学省 研究開発局環境エネルギー課課長補佐
- 登壇者
-
現地登壇者
- 松澤 裕 / 環境省 地球環境審議官
- 岡野 祥平 / 環境省 地球環境局総務課気候変動観測研究戦略室長
- 佐伯 田鶴 / 国立環境研究所 主任研究員
- 伊藤 昭彦 / 東京大学 教授/国立環境研究所・主席研究員
- 渡邉 正孝 / 中央大学 機構教授
- 染谷 有 / 国立環境研究所 主任研究員
- 金谷有剛 / 海洋研究開発機構 地球表層システム研究センター長
- Prabir PATRA / 海洋研究開発機構 上席研究員/総合地球環境学研究所 (RIHN) 教授
- 谷本浩志 / 国立環境研究所・地球システム領域副領域長
- Batjargal Zamba / モンゴル気象水文研究所・科学顧問、 前モンゴル気候変動特使
- Sattor Saidov / タジキスタン共和国環境保護委員会水文気象庁気候変動・オゾン層研究センター長
- 小田 知宏 / Universities Space Research Association (USRA)・上席研究員/メリーランド大学・客員教授
- 高附 彩 / 文部科学省 研究開発局環境エネルギー課課長補佐
- セッションサマリー
-
本イベントでは、人工衛星による温室効果ガスと短寿命大気汚染物質(SLCFs)観測の最新の成果と将来展望、気候変動対策とのコベネフィットについて紹介を行うとともに、パネルディスカッションで議論を深め、会場の参加者と意見交換を行った。
国立環境研究所・谷本の司会のもと、環境省・松澤地球環境審議官に挨拶を頂戴し、前半の最新の話題提供では、日本の温室効果ガス観測技術衛星GOSAT/GOSAT-2の概要紹介とこれまでの環境行政利用の実績(環境省・岡野)、科学的成果とグローバルストックテイクへの貢献(国環研・佐伯)、国別排出量推定への応用事例(中央大学・渡邊)を紹介するとともに、2024年度打ち上げ予定のGOSAT-GWの準備状況を報告した(国環研・染谷)。引き続き、衛星観測と地上・航空機観測に基づく総合的な温室効果ガス収支評価のプロジェクト紹介や(東京大学・伊藤)、温室効果ガスに加えてオゾンやエアロゾルなどのSLCFsの動態把握の重要性と、排出削減による気候と健康のコベネフィットを解説した(JAMSTEC・金谷/Patra)。
後半のパネルディスカッションは、前半の講演者に加えて、アメリカ、モンゴル、タジキスタンからの参加者をパネリストとして迎え、地球観測に関する国際活動や期待が議論された。GOSATシリーズ衛星観測データを用いたCO2排出量推定の技術を、モンゴルに加え、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタンと協力関係を結び、今後国連報告書に活用する旨を報告した(中央大学・渡邊、モンゴル国代表・Zamba、タジキスタン共和国代表・Saidov)。また、地球観測衛星が提供する情報と実際のステークホルダーがアクションに必要とする情報を論じ、次世代衛星からの観測・情報による改善への期待が述べられ(USRA・小田)、日本の次世代衛星の展望が語られた(国立環境研究所・染谷)。会場の参加者からは観測手法やモデル等に関する質問があり、最後は文部科学省・高附課長補佐の挨拶をいただいた。
その他のタイムテーブル
2023.12.9 Sat.
- 13:00 - 14:15
-
GX(グリーントランスフォーメーション)を通じた持続可能な成長に向けて
主催者:日本経済団体連合会、日本エネルギー経済研究所、地球産業文化研究所
- 14:45 - 15:15
-
2023G7議長国日本の総括イベント
主催者:日本環境省
共催者:日本経済産業省
- 15:45 - 17:00
-
パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)を通じたNDCの強化 ~6条実施支援パッケージの発表~
主催者:環境省
共催者:公益財団法人 地球環境戦略研究機関
- 17:30 - 18:45
-
第9回JCMパートナー国会合
主催者:環境省