11月11日(金) 10:30-12:00

JCM

10:30-12:00

タイトル 二国間クレジット制度(JCM)および低炭素型開発:日尼の協力事業からの教訓
概要 インドネシアにおける低炭素型開発のための能力強化を目的とした技術協力では, 低炭素型開発の手段のひとつとして、JCMの制度運営支援を行っている。本イベントでは、世界最初のJCM登録案件およびクレジット発行案件を有するインドネシアでのJCMの取組と成果を紹介した上で、JCMおよび本技術協力を通じてこれまでに得られた技術的および政策的課題(他の緩和策との連携・調整等の政策的課題、及びその対応策の検討等)と対応策などを含むインドネシアの教訓を紹介する。本イベントでの議論を通じ、技術面や政策面などにおいて他国のJCMのさらなる発展や低炭素開発の取組の促進への貢献を目指す。
主催/共催
プログラム
セッション
サマリー
本イベントは、インドネシアにおける気候変動緩和の取り組みについて、その現状の紹介とともに、得られている教訓の共有などを目的として、JICAおよびインドネシア経済担当調整大臣府により開催された。
まず、JICAから、気候変動対策分野における協力の優先課題やインドネシアでの協力概要およびインドネシアの気候変動緩和対策の概要を説明した。さらに、①プロジェクトレベル(主にエネルギーセクター)での取り組みが進んでいるJCMの実施状況、②NDC実施にむけたファイナンスに係る取り組み、および③パームオイルセクターを題材にしたパリ協定のインドネシアの現状と課題などが紹介された。
①インドネシアではJCM制度構築および案件の形成が進んでいる。各種ガイドラインの策定(持続可能性指標を用いたモニタリング制度の導入を含む)され、方法論が10件承認済みである。JCMプロジェクトの案件形成・実施促進のため補助金などインセンティブ制度を有しており、登録済みJCMプロジェクト6件のうち、検証手続きを経て2件のプロジェクトからクレジットが発行済みである(Edwin氏)。②インドネシアでは、今後NDCの実施にあたり、大規模な予算が必要と推計されている。財務省では予算を効果的に活用するため、気候変動予算のタグ付けやパフォーマンス・ベースの予算などの仕組みが導入されている。また、財務省は、GCFをNDAとして管轄している(Syurkani氏)。③インドネシアでは人口増加と経済成長が続いている。インドネシアのパームオイルの生産量は世界一で、世界中に輸出されており、食糧などの生活用およびバイオディーゼルなどの産業用としても使われている。他国の生活や経済活動とも結びついており、開発と気候変動のトレードオフの相克が課題である(川西氏)。
ディスカッションセッションでは、以下の有用な指摘がなされた。インドネシアではCDMの経験を踏まえたJCM案件形成と実施がうまく進んでおり、プロジェクトの規模も大規模化し、ステークホルダーの巻き込みも進んでいる点など評価できる(Michaelowa氏)。また、ベトナムでもJCMに積極的に取り組んでいるが、取り組みが進んでいるインドネシアなどのJCMの経験・教訓を関係国間で共有し、相互学習をすることがさらにJCMを進めていく上で有用である(Huong氏)。また、緩和策の実施にあたり、ファイナンスの重要性も参加者間で共有された。
キーメッセージ インドネシアでは、気候変動緩和策の取り組みが進んでいるが、様々な課題がある。開発課題やマクロ経済政策と気候変動課題の相克、緩和策実施のためのリソースの確保、異なるセクター間における政策面の調整向上(緩和策と適応策の連携含む)などである。
公共資金には限りがあるため、効率的かつ効果的な活用のための環境整備(機器や設備含む)維持管理および民間事業者など関係者のさらなる巻き込みが必要である。JCMにおけるステークホルダー巻き込みからの教訓も有効活用されるべきである。さらに、関係国の関連する取り組みから相互に学習すること、および、関係者への意識啓発による意識改革などが重要である。
各種資料 イベントフライヤー(英文)(PDF・81KB)
発表資料 1(英文)(PDF・783KB)
発表資料 2(英文)(PDF・1,163KB)
発表資料 3(英文)(PDF・580KB)
発表資料 4(英文)(PDF・1,786KB)
イベント風景
  • 11月11日(金)10:30-12:00のイベント
  • 11月11日(金)10:30-12:00のイベント
  • 11月11日(金)10:30-12:00のイベント
報告者 国際協力機構(JICA)長期専門家/チーフアドバイザー 市原純