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15:15-16:00

ポストCOP21における国の気候変動緩和策の進捗を計測するための指標開発を目指した研究の概要紹介と成果報告

国立研究開発法人 国立環境研究所(NIES)、名古屋大学、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

イベント概要

環境省が支援している「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」の概要を紹介し、今までに得られた成果として、暫定的な指標案と、指標案を用いて実際に日欧米中の緩和策を計測した暫定的な結果を公表する。またこれらのプレゼンに対してフロアと意見交換を行う。

プログラム

  1. ポストCOP21における国の気候変動緩和策の進捗を計測するための指標開発を目指した研究の概要紹介と成果報告
    アジアにおける科学的な気候政策の形成に資する日本の包括的かつ継続的な支援パッケージ
    亀山康子 国立環境研究所 室長
  2. 開発された指標に対する課題
    田村堅太郎 地球環境戦略研究機関 エリアリーダー(日本)
  3. Environment Performance Indicator (EPI) からの示唆
    Dr. Angel Hsu イェール大学(米国)
  4. 途上国からの視点
    Prof. Hilton Trollip ケープタウン大学 教授(南アフリカ)
  5. 国際エネルギー機関(IEA)からの示唆
    Timur Guel IEA研究員(フランス)
  6. 質疑応答
  7. コメント、総括

議長:高村ゆかり(名古屋大学教授)

セッションサマリー

冒頭に亀山より、本プロジェクトで開発を目指している気候変動政策の進捗を測るための指標の体系、および、その体系を用いて米国、欧州、日本、中国のデータで実際に適用した場合の結果を紹介した。指標はアクション指標とアウトカム指標に分かれていることや、4つの目標ごとに分けようとしている点を説明した。また、それぞれの結果を踏まえて国の状況を評価できることを説明した。次に、田村より、体系の中で改善が求められる点を挙げた。その後、3名の専門家より助言を受けた。Hsu氏からは、イェール大学で15年前に開発されたEPIにおける気候変動の指標での経験が紹介された。単に一人当たり排出量などで見ると最貧国がトップに来るという課題があったことから、異なる指標が開発された。次に、ケープタウン大学のTrollip氏より、途上国に指標を適用する際の注意点が示された。特にデータの入手可能性は、指標選定の上で障壁となることが指摘された。最後に、IEAのGuel氏からは、最近IEAから公表された報告書が説明され、エネルギーデータだけを用いた定量的な指標と、政策を評価する定性的な指標の組み合わせが重要との示唆があった。その後にフロアから質問を受け、パネル形式で回答した。
本サイドイベントで紹介した指標研究は今年度を含めて3年プロジェクトであるため、今後の改善に今回得られた示唆を反映させたいという主旨で総括した。

キーメッセージ

今回指摘を受けた点について改善を行い、今後、米国、EU、日本、中国から、指標に用いるデータをすべて集め、評価する。次に、その評価をそれぞれの国の専門家にチェックしてもらう。また、類似の研究が世界各国で増えていることから、来年度には、類似の研究を実施している専門家を集めたワークショップを企画する。その結果を踏まえ、最終的な指標案を提示し、すべての国を評価対象にする。

イベント風景

報告者

国立研究開発法人国立環境研究所 亀山康子