Thu 10 December Thu 10 December
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13:30-15:00

JCM都市間連携を通じた、低炭素社会の実現

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)

イベント概要

本イベントでは、二国間クレジット制度(JCM)の中でも、2012年から行われている、都市間連携に基づき都市全体の低炭素社会実現を目指すJCM案件形成可能性調査事業に焦点を当てる。現在、国際的にも都市が低炭素化社会に向けた実施において、重要な存在であるとの認識が高まりつつあることから、本セッションでは、日本政府としてのJCM都市間連携の取組み支援を紹介し、都市間連携のメリットとこれまでの実績を共有する。ドナー機関やJCM都市間連携を実施するアジア各国関係者もスピーカーとして招き、JCM都市間連携への期待と可能性について議論する。

プログラム

  1. 開会挨拶
    浜中裕徳 地球環境戦略研究機関 理事長
  2. TAP(都市の変革のためのアクションプログラム)と将来の展望
    Gino Van Begin イクレイインターナショナル 世界事務総長
  3. ベトナム国ダナン市と横浜Y-PORTが進める都市間連携について
    三木はる香 地球環境戦略研究機関 研究員
  4. アジアにおける都市開発でのADBの支援
    杉本留三 アジア開発銀行 環境専門官
  5. COP21の進捗
    小圷一久 地球環境戦略研究機関 上級研究員
  6. 議論
    [登壇者]
    Gino Van Begin イクレイインターナショナル 世界事務総長
    杉本留三 アジア開発銀行
    小圷一久 地球環境戦略研究機関
    田村健太郎 地球環境戦略研究機関
    [ファシリテーター]
    浜中裕徳 地球環境戦略研究機関
  7. コメント・質疑応答

セッションサマリー

開会挨拶で、浜中裕徳氏(地球環境戦略研究機関 理事長)は、都市や自治体を含む非国家主体(Non-State Actors)が気候変動の緩和と適応に向けて戦略、計画立案、目標を立て始めているなど、気候変動への対応で、都市や自治体の重要性が増していることに言及した。都市間連携では、COP21のLima-Paris Action Agenda(LPAA)に関するUNFCCC公式サイドイベントでインドネシア国インスカンダール市が、都市間連携を通じた低炭素都市の良例として紹介されていると述べた。

基調講演で、Gino Van Begin氏(イクレイ世界 事務局長)は、都市や自治体の活動が、2007年以降活発化しており、自治体が目標を設定し、達成できるように温暖化効果ガス(GHG)を測定、報告、確認(MRV)することの重要性に触れた。イクレイは、自治体レベルのMRVの促進に向け、ツールや方法論の開発を進めている。Begin事務局長はまた、都市や自治体の活動を気候変動分野でより活発にするには、自治体の行動を認知することが重要とした。

講演では、三木はる香氏(地球環境戦略研究機関 研究員)が、都市を底上げする気候変動に対するアクションとして、横浜市とベトナム国ダナン市の都市間連携の例を提示した。また、杉本留三氏(アジア開発銀行 環境専門官)は、アジア開発銀行における都市の取り組みのファイナンスメニューや分野を紹介した。杉本氏は、自治体プロジェクトの更なるファイナンスに向けて、リーダーシップの見える化、自治体自身によるプロジェクトへの長期的なコミット、リスクの共有方法の検討を助言した。

概要説明で、小圷一久氏(地球環境戦略研究機関 上級研究員)は、過去3年間にUNFCCC下で発足したメカニズムと都市や自治体のアクションを関連付けが必要とし、LPAAとNon-state Actor Zone for Climate Action(NAZCA)の設立は、今後、Technical Examination Process(TEP)、技術メカニズム(CTCN)、金融メカニズム(GCF)のようなUNFCCCの既存のプロセスやメカニズムとの紐付けで効果的なプラットフォームになると期待されると述べた。

ディスカッションでは、都市のアクションを底上げするために適当な技術メカニズムや、国のプロジェクトに都市や自治体のプロジェクトをつなげるための検討を中心に議論が行われ、Begin氏(イクレイ世界 事務局長)は、都市や自治体への直接のファイナンスを可能にする方策と、自治体自身が与信を高めることが必要と言及した。田村健太郎(地球環境戦略研究機関 上級研究員)は、パリ協定の具現化に向けて、TEPの強化、またNAZCAを促進するため、ハイレベルのダイアローグが必要と述べた。

キーメッセージ

気候変動への対応で、自治体やビジネスなど非国家主体(Non-state Actors)の役割の重要性が増加。異なる政府レベルや多様な主体の参加の重要性が認識され、非国家主体が、気候変動の緩和と適応に向けて戦略、計画立案、目標を立て始めている。

自治体のボトムアップのアクションの底上げには、以下三点が必要:

  1. 自治体の温暖化効果ガス(GHG)削減目標の設定と達成を確実にするために、自治体の気候アクションの測定、報告、確認(MRV)を徹底
  2. 自治体の気候アクションのファイナンス化促進に向けた、プロジェクトリスクの分散方法と自治体自身のプロジェクトへの長期的なコミットの検討
  3. UNFCCCが、LPAAのNAZCAプラットフォームの具現化に向けて、UNFCCC下のメカニズムとの関連付け。例:Technical Examination Process(TEP)、技術メカニズム(CTCN)、金融メカニズム(GCF)

イベント風景

報告者

公益財団法人 地球環境戦略研究機関 三木はる香