21世紀における人口減少と気候変動:アジア太平洋地域において「人口減少の配当」を実現させるために
東北大学、シェフィールド大学(英国)
イベント概要
人口減少が社会に与える影響の中で温室効果ガス排出削減やエネルギー需給に注目し、人口減少の影響を温暖化対策や経済発展などに対してポジティブにするための方策を日本および世界に対して提案する。
プログラム
21世紀における人口減少と気候変動:アジア太平洋地域において「人口減少の配当」を実現させるために
セッションサマリー
2008年に日本は人口減少を経験した最初のアジアの国となり、今後30年間は確実に縮小していく。また、2020年代と30年代には韓国や中国でも人口が縮小し始める。ニュージーランドなどのように国全体としては人口成長が続く国の中でも、一部の地域は人口減少を経験している。人口減少や過疎化は、直感的には気候変動緩和(温室効果ガス排出削減)のためには良い効果を持つ。しかし、それは十分には検証されておらず、地域社会にとってネガティブな影響を与える場合もある。このような状況の下では、本サイドイベントでは以下のことを議論した。
- 日本の経験は他のアジア太平洋諸国に役立つか?
- 日本は人口減少をより持続可能な将来を作るために利用できるか?
- 過疎化がエネルギー変換などに貢献していることを示唆する証拠はあるか?
- そのような証拠は、例えば、人口増加、人口収縮、および資源消費との関係に関する楽観的な仮定と矛盾しているか?
これらに関してパネリストたちは議論し、少なくとも現時点の日本では人口減少の配当は温暖化ガス排出削減という点では十分に実現されていないとした。そのため、人口減少や過疎化による配当を実現するためには、政府は、戦略的、長期的な視点で問題に取り組むことが必要であると結論付けた。また、さらなる研究が必要であることも確認した。
キーメッセージ
現時点の日本では人口減少の配当は温暖化ガス排出削減という点ではまだ検証されていない。したがって、この分野では更なる研究が必要である。同時に日本政府は、例えば、より積極的に省エネを考慮した街作りや住宅政策などを実施すべきである。
イベント風景
報告者
シェフィールド大学 ピーター・マンタンレ
東北大学 明日香壽川
デュイスブルグ・エッセン大学 ポール・スカリス
シェフィールド大学 マシュー・ビルソン