低炭素社会の推進のためのツール:MRVガイドブック・NAMAガイドブック
一般社団法人 海外環境協力センター(OECC)、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)
イベント概要
MRVガイドブック、NAMAガイドブックまたは低炭素社会やキャパシティ・ビルディング活動の推進をサポートするための他の取組みを紹介する。
プログラム
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- 開会挨拶
- 小河原二郎 海外環境協力センター(日本)
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- NAMAガイドブックの紹介
- 小河原二郎 海外環境協力センター(日本)
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- MRVガイドブックの紹介
- 小圷一久 地球環境戦略研究機関(日本)
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- NAMA及びMRVツールの紹介
- John Oliver Niles – GHG Management Institute(米国)
Christian Dannecker – South Pole Group(スイス)
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- パネルディスカッション
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- [討論参加者]
- John Oliver Niles – GHG Management Institute(米国)
Christian Dannecker – South Pole Group(スイス)
Martin Frick – Food and Agriculture Organization of the United Nations(イタリア)
Ritika Tewari – NewClimate Institute(ドイツ)
Wee Keang Fong – World Resources Institute(中国事務所)
Thawachai Somnam – Thailand Greenhouse Gas Management Organization(タイ)
Jose Manuel Sandoval – 環境省(コロンビア)
小河原二郎 海外環境協力センター(日本)
- [モデレーター]
- 小圷一久 地球環境戦略研究機関(日本)
セッションサマリー
開会挨拶
海外環境協力センター主任研究員小河原二郎がパネリストを歓迎し、サイドイベントの目的と構造を説明した。
プレゼンテーション
OECCの小河原氏は、最近出版された第3版のNAMAガイドブックを紹介した。前ガイドブックとの関係を説明し、ガイドブックの成果としてキャパシティ・ビルディングコースでの使用と特定ネットワークでの配分について発表した。
IGESの小圷氏は、世界資源研究所(WRI)のWee Kean Fong 氏などの国際機関の研究者と共同で書かれたMRVガイドブックを紹介し、緩和対策の実施のためのツールの重要性について説明した。
GHG Management Instituteのジョン・ナイルズ氏は、彼らが開発した緩和対策とMRVに関連したコースを紹介した。現在、様々な国でパートナーシップを開発し各国でコースを開催している。
South Pole Groupのクリスチャン・ダンネッカー氏はNAMAsのためのMRVおよびモニタリング&評価(M&E)を紹介し、“transformational”に関する意味について説明した。NAMAガイドブックでは持続可能な開発目標の定量化に役立つMRVとM&Eシステムについて説明し、国連開発計画(UNDP)のために開発されたNAMA持続可能な開発ツールを紹介した。
パネルディスカッション
小圷氏は国別報告書や約束草案(INDCs)等、国から提供される情報に基づいて、ポスト・パリに関するアクションのための方向性について議論した。そのために、パネリストへの質問と研究機関が開発したツールに関するマトリックスを紹介した。
マーティン・フリック(FAO)は、彼らが開発した農業の緩和対策の学習ツールについて話した。その他、緩和と適応の連携にフォーカスし、最終的に農業と食料安全保障の改善について議論した。
世界資源研究所(WRI)のFong 氏は彼らが開発している都市のGHGプロトコルについて説明し、発展途上国で支援する研究機関とのパートナーシップの重要性を強調した。ただし透明性が重要であるが、測定に集中しすぎるのは必ずしもアクションへ進まないことについて説明した。
NewClimate研究所のリティカ・テワリ氏は特にツールを紹介しなかったが、所属している研究所が行った約束草案で含まれてない国の貢献の分析及びコベネフィットの定量化について説明した。
司会者は、前述のツールについての意見を発展途上国の代表者に依頼した。
TGOのタワチャイ・ソムナム氏は、NAMAガイドブックについては政策決定のためだけでなく、事業推進のために役に立ったことを説明した。タイでは、ボトムアップアプローチでNAMAsが開発されているため、ガイドブックはツールとして役に立った。
コロンビア環境省のホセ・マヌエル・サンドバル氏は、現在コロンビアは15のNAMAsを持っており、低炭素戦略にリンクされているMRV戦略を開発した。このシステムは次の3つの主要分野に焦点されている:1)緩和行動の進捗状況の追跡、2)隔年更新報告書等の導入による報告の変更、3)国内および国際的な気候資金を追跡するモデルの開発。
パネルの結論として、FAOのフリック氏は、アクションへのコミットメントを表しているINDCsの重要性を強調した。その結果、すべての国が今後のアクションについて責任を取り、パートナーシップがさらに重要になるであろうと説明した。
SPGのクリスチャン・ダネカー氏は、様々な報告が現れているため、これからパートナーシップはより重要になることについて述べた。
最後に、司会者は各ツールを比較できるマトリックスを紹介し、ツールの共通点や配布の仕方の改善について説明した。
キーメッセージ
- 多くの研究機関は他の機関と整合された方法よりも、単独でNAMAsとMRVに関連するさまざまなツールを開発した。
- 途上国からの実践者は、研究機関からの情報、キャパシティ・ビルディング、および指導を必要としている。その意味で、ツールが有用であり、歓迎されている。
- 資金調達が常に要求されるため、支援団体の間でより協調的に介入を考えることが必要になる。
イベント風景
報告者
海外環境協力センター 主任研究員 小河原二郎