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11:45-12:55

革新的低炭素技術移転の促進に向けて−アジア開発銀行と日本国政府の気候変動分野での協力と日本JCM基金について

環境省、アジア開発銀行(ADB)

イベント概要

アジア開発銀行(以下、ADB)と日本国政府の気候変動分野での協力について紹介し、日本の本分野での貢献を世界に発信する。

ADB は広く日本政府と協力し、アジア地域での様々な地球温暖化・気候変動分野で緩和/適応の取組を推進している。最近では、環境省協力の下、ADBでは2014年にJCM 日本基金(以下、JFJCM)を設立し、ADBのプロジェクトにおける先進的な低炭素技術の導入への支援を行っている。

イベントではJCM の全体像JFJCM の仕組みを紹介するとともに、モルディブ及びモンゴルのJFJCMプロジェクト及びそのプロジェクトに導入される優れた低炭素技術、また各国のJCM の経験や期待を環境省、ADB及び各国代表から発表することを想定している。

プログラム

  1. 歓迎の辞
    小林正明 日本国環境省地球環境審議官
  2. 開会の辞
    バンバン・スサントノ アジア開発銀行 副総裁(知識管理・持続的開発担当)
  3. 写真撮影
  4. JCMの現状
    木野修弘 日本国環境省地球環境局国際連携課国際協力室長
  5. JCM日本基金と低炭素技術
    杉本留三 アジア開発銀行 環境専門官
  6. モルジブ国でのJCMの現状及びJCM基金で資金支援決定したプロジェクト紹介
    ザマス・カレーン モルジブ国環境エネルギー省環境分析官
  7. モンゴル国でのJCMの現状及びJCM基金で資金支援決定したプロジェクト紹介
    杉本留三 アジア開発銀行 環境専門官
  8. タイ国でのJCM活動の現状
    プラセツク・シャモマン タイ国国家温室効果ガス管理機構事務局長
  9. 意見交換及び質疑応答

セッションサマリー

  1. 日本国環境省地球環境審議官 小林正明とアジア開発銀行 副総裁(知識管理・持続的開発担当)バンバン・スサントノが開会の辞を述べ、JCMが実施しているような資金支援をともなった気候変更緩和に関する技術移転の重要性をハイライトした。
  2. 日本国環境省地球環境局国際連携課国際協力室長 木野修弘はJCM署名国数、登録プロジェクト、資金支援方策及び実現可能性調査等JCMの進捗状況につき報告し、直近の署名国がタイ国であったこと、COP21期間中に日本国とフィリピン国間で二国間クレジット制度に関する覚書の署名がなされたことの紹介があった。
  3. アジア開発銀行 JCM日本基金ファンドマネージャー 杉本留三からJCM日本基金で資金支援決定した、モルディブとモンゴルの2つのプロジェクトと、そこで適用される技術の紹介がなされた。また、ベトナム国、インドネシア国、カンボジア国、ラオス国及びタイ国での潜在プロジェクトへの言及もあった。
  4. モルディブ国環境エネルギー省環境分析官 ザマス・カレーンからモルディブ国でのJCMの現状及びJCM基金で資金支援決定したプロジェクト紹介があった。ディーゼル使用のため電力料が高いことと、経済的・財政的観点からモルディブでの太陽光発電の重要性が強調された。
  5. アジア開発銀行 JCM日本基金ファンドマネージャー 杉本留三からモンゴルでの電熱併給プラントの配電熱プロジェクト紹介があり、二酸化炭素排出削減と同時にプロジェクトで使用されるアモルファス変圧器の経済便益について強調された。
  6. タイ国国家温室効果ガス管理機構事務局長 プラセツク・シャモマンからは、タイ国側のJCM実施体制及びJCM資金支援が決定済のプロジェクトを含む現状の活動の報告があり、JCMとJCM日本基金のタイ国の約束草案への貢献が表明された。
  7. 質問は、日本政府とJCM署名するのにはどの程度の時間が必要であるかとJCMにおける大学の役割が議論となった。JCM署名に関しては過去1~3年の協議が必要であったが、JCMの実績が積みあがってきて、JCM協議スペードが加速化していること、JCMでは大学の研究費用支援はできないが、ショーケースとし優れた低炭素技術の適応の機会を提供し気候変動問題に関する学生の理解を高める等の方策についての協力ができること、が議論された。

キーメッセージ

  • 二国間クレジット制度は更なる国際交渉不要で現在実践中の新しいマーケットメカニズムのひとつであり、途上国はJCM実施のスピード感を高く評価している。
  • 低炭素技術を適応するためには経済性・社会便益が必要であり、当該技術を如何に迅速に普及させるかが鍵である。
  • 官民の気候変動関連資金は両者とも重要である。JCMはプロジェクト実施費用の一部を官民共同で資金支援する資金支援スキームに分類できる。

イベント風景

報告者

環境省 地球環境局国際連携課国際協力室 植松朋樹