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15:15-16:45

持続可能な開発と気候変動 ~ASEAN諸国のINDCs履行に向けた能力開発の役割強化に向けて~

タイ温室効果ガス管理機構(TGO)、独立行政法人 国際協力機構(JICA)、一般社団法人 海外環境協力センター(OECC)

イベント概要

ASEAN諸国、日本そしてUNFCCCのスピーカーやパネリストによる、国連持続可能な開発目標(SDGs)と気候変動の関連やコベネフィット、能力開発について議論を予定。

気候変動国際研修センター(CITC)は2014年5月にJICAによる技術協力を受け、TGOが設立。現在、CITCは気候変動に関連する研修サービスをタイ及びASEAN諸国の関係者に対し、提供を行っている。OECCはTGOと協力覚書を締結し、CITCの取組を支援している。

CITCがASEAN地域の気候変動の研修・ネットワークハブとして、今後更なる関係者の能力強化を図り、SDGsやINDCs等の国際的な目標達成に向けた取組を進めるために、スピーカー及び参加者との情報・意見交換を実施する。

プログラム

  1. 開会挨拶
    木野修宏 環境省地球環境局国際協力室 室長(日本)
    Mr. Prasert Sirinapaporn タイ天然資源環境省(MONRE)天然資源環境政策計画局(ONEP)部長(タイ)
  2. 基調講演:持続可能な開発と気候変動
    Ms. Cassie Flynn 国連開発計画 気候変動政策アドバイザー(米国)
  3. 講演・パネルディスカッション

    ファシリテーター:Dr. Jakkanit Kananurak タイ温室効果ガス管理機構(TGO)気候変動国際研修センター(CITC)部長

    1. ASEANコミュニティ2015:環境協力及び気候変動
      Dr. Ampai Harakunarak ASEAN事務局分野横断協力局 環境課長(インドネシア)
    2. 気候変動国際研修センター(CITC)紹介
      家本了誌 タイ温室効果ガス管理機構(TGO)JICA専門家(タイ)
    3. ベトナムでのNAMA/INDC開発の経験
      Ms. Nguyen Thanh Hai ベトナム天然資源環境省(MONRE)JCM事務局(ベトナム)
    4. タイのINDCsに係る経験、ニーズ、教訓
      Mr. Prasert Sirinapaporn タイ天然資源環境省 天然資源環境政策計画局(ONEP)部長(タイ)
    5. アジアは一足飛びできるか?
      西岡秀三 低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)事務局長(日本)
    6. 具体的な取り組みにつなげるための実践的研修の経験
      小河原二郎 海外環境協力センター(OECC)主任研究員(日本)
  4. 閉会挨拶
    佐藤一朗 国際協力機構(JICA)地球環境部気候変動対策室 副室長

セッションサマリー

司会進行のTGOジャカニット部長より本サイドイベントの趣旨等について説明がなされた後、環境省地球環境局国際協力室木野室長及びタイ天然資源環境政策計画局(ONEP)プラサート・シリナパパーン部長より開会の挨拶が行われた。

環境省木野氏からは昨年9月の国連気候変動サミットにて安倍首相が表明した、途上国の気候変動人材育成目標(14,000人/2014~16年)に触れ、設立以来既に500人以上の研修員を輩出しているCITCの取組について歓迎の意が表され、今後の取組についても期待が寄せられた。また、環境省が実施している気候変動と開発の双方の課題に取り組むコベネフィットアプローチについても紹介された。

タイONEPプラサート氏からはタイがINDCを提出していることに触れ、世界のほとんどの国(181か国)がINDCを提出済であること、今年9月には国連にて新たな持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、気候変動についても目標の一つとして新たに加えられる等、開発面でも気候変動の取組を促す動き等が紹介された。

開会挨拶の後、UNDP気候変動アドバイザーのキャシー・フリン氏より今年9月に新たに採択された持続可能な開発目標(SDGs)に関するプレゼンテーションが行われ、SDGsとCOP21パリでの合意が開発の新たな時代を切り拓いていくとのメッセージが伝えられた。

ASEAN事務局環境課のアンパイ・ハラクラナック氏からはASEANレベルでの取組、とりわけASEAN Community’s Post-2015 Vision及びASCC Blueprint 2025 on Environment & Climate Changeについて紹介された。

JICA専門家(TGO赴任)の家本了誌氏からは、気候変動国際技術研修センター(CITC)の取組内容について紹介がなされ、2014年5月のCITC設立後、タイの中央・地方政府関係者を中心に複数の研修を実施、2016年初頭よりASEAN諸国向けの研修を実施予定である旨が紹介された。

ベトナム天然資源環境省の気象・水文・気候変動局(DMHCC)のグエン・タン・ハイ氏から、ベトナムのNAMA・INDC開発に関する取組について紹介がなされ、ベトナムとしても気候変動を開発課題の一つとして捉え、重要視していること等も合わせて紹介された。

タイONEPのプラサート・シリナパパーン氏からは、タイのINDCの背景情報や内容について紹介がなされ、気候変動の目標と開発目標のリンケージやカギとなる関係者を計画策定の早期の段階から関与させること等について共有が行われた。

低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)の西岡秀三氏からは、アジア地域の低炭素成長シナリオについて紹介され、2050年までに一人当たりの排出量を2トン以下に抑えるためには、一足飛び(リープフロッグ)の開発が重要であるとの指摘がなされた。

OECC主任研究員の小河原二郎氏からは、OECCの能力開発に関するセミナーや研修等の取組について、特にJICA研修での研修員のアクションプラン作成指導、そしてそれらのアクションプランが実際にプロジェクトとして途上国にて実施された例等が紹介された。

ファシリテーターのTGOジャカニット・カナヌラック氏からは、来年3月末に実施を予定している、CITC能力開発ウィークの取組について紹介され、今回議論した課題について、更にASEAN地域において議論を深める予定であると紹介された。

閉会の挨拶はJICA気候変動対策室の佐藤一朗氏からなされ、持続可能な開発と気候変動の問題に関し、今回のサイドイベントにて改めて能力開発が重要な役割を果たすことを再確認し、今後JICAとして地域の能力開発に対し、支援を継続していきたい旨の発言がなされた。
(時間の関係上、質疑応答についてはサイドイベント終了後に個別に行われた。)

キーメッセージ

  • 持続可能な開発と気候変動のリンケージを意識すると共に、途上国の開発計画に気候変動対策を盛り込む、気候変動の主流化が途上国での気候変動対策を推進する上での鍵となる。
  • 途上国においても低炭素社会へ向けた取組が求められ、特に経済成長著しいアジア地域では早急に対策が求められ、一足飛びの開発が有効である。
  • 低炭素社会開発に向け、能力開発の必要性を再確認すると共に、中央政府の職員のみならず、地方政府や民間事業者、NGO、研究者、一般等、幅広い対象者に対し、能力開発の取組を実施し、活動を促す必要がある。
  • 今回のサイドイベント結果を、2016年3月末にタイ・バンコクにて開催予定のCITC能力開発ワークショップにて報告すると共に、引き続き持続可能な開発と気候変動の問題を取り上げ、ASEAN諸国の関係者と共に議論していく。

イベント風景

報告者