Thu 3 December Thu 3 December
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13:30-15:00

低炭素技術移転のための国際連携

国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)

イベント概要

低炭素技術分野における国内外の学術機関、国際機関、政府機関、そして民間セクターなどの専門家が一堂に会し、技術移転に対する国際連携の役割について議論する。低炭素技術移転の連携・協力分野における日本の取組みを含む、異なる国や分野のこれまでの経験や活動を紹介すると共に、COP-21後の方向性について考える。

プログラム

  1. 低炭素技術移転のための国際協力の構築
    クリストファー・ドール 国連大学サステイナビリティ高等研究所 リサーチフェロー(日本)
  2. 経済開発およびエネルギーへのアクセスをサポートしながらCOP21がいかにしてエネルギーセクターの技術革新を低炭素型にできるか
    服部崇 国際エネルギー機関(IEA)環境・気候変動ユニット長(フランス)
  3. 低炭素技術移転分野における日本のイニシアチブ
    川又孝太郎 在ドイツ連邦共和国日本大使館参事官(ドイツ)
  4. ペルーにおけるNAMA開発: 技術アプテーク促進のための環境整備とフィナンシャル枠組み開発
    Dr. Markus Hagemann 新気候研究所(ドイツ)
  5. コメントおよび質疑応答
    討議者: Dr. Heleen C. de Coninck, ラドバウド大学(オランダ)

セッションサマリー

低炭素技術移転のための国際協力の構築

国連大学、研究プロジェクトの概要説明。現在、低炭素技術、革新的技術は日本や欧米諸国など先進国が所有しており、途上国などへの普及・拡散が二酸化炭素削減に対する重要な実施策になる。技術の開発、環境整備などの段階毎に適した政策実施が重要。また持続可能な開発における技術移転としては機材、キャパシティ、技術革新キャパシティなどは場所やアプリケーションによって異なる。社会・技術システムを考慮することで、どこで行動が必要とされているかを特定するのに役にたつと強調された。

経済開発およびエネルギーへのアクセスをサポートしながらCOP21がいかにしてエネルギーセクターの技術革新を低炭素型にできるか

服部氏からはIEAが行う低炭素技術分野での活動、COP21へのメッセージなどを発表。経済開発、エネルギーアクセスの向上を踏まえながらエネルギーセクターにおける大幅な二酸化炭素排出量削減の必要性を強調。コストー効果的アクションを通して2020年頃を目途に世界的な排出量のティッピングポイントを迎える見込み。パリ議定書においては長期的目標、5年周期の見直し、そしてトラッキングフレームワークを通してエネルギーセクターにアプローチすることが重要。エネルギー技術移転は技術革新と密接に行うことが効果的であると強調された。

低炭素技術移転分野における日本のイニシアチブ

日本が推進するL2-Techと二国間クレジット制度(JCM)の二つのイニシアチブについて紹介。規制クリアタイプの基準では、さらなる改善へのインセンティブが期待できないため、L2-Techでは継続的なインセンティブを生じさせるために、ベストの水準を定期的に更新していく政策を開始。優良事例としてコジェネレーションシステム、空気洗浄機などを紹介。さらに日本が推進するJCMの概要を説明。これまでに15の国々と覚書を結び、現在7つのプロジェクトが正式に登録されており、44のプロジェクトが支援されている。

ペルーにおけるNAMA開発: 技術アプテーク促進のための環境整備とフィナンシャル枠組み開発

ペルーにおけるバイオマス廃棄物の状況、国内における適切な緩和行動(NAMAs)、バイオマス廃棄物分野における環境整備、またそれに対するフィナンシャル枠組みについて発表が行われた。環境整備に関しては、国・地域ごとに異なる枠組みを基に行われることが必要であるが、国際的な優良事例の経験などを参考にすることがより効果的となる。またプロジェクトを実施する上で、適したフィナンシャル枠組みの設計が特に重要になるが、公、最適の私フィナンスのバランスをとることが必要。

コメントおよび質疑応答

ラドバウンド大学のDr. Coninckからは3つのプレゼンテーションの総括、低炭素技術移転についていくつかコメントがされた。1)移転対象国のキャパシティとその国や地域における技術革新が必要。2)現存する技術についての知識差、さらに技術移転を行う段階で協力から競争に変化する可能性がある。これらの点がUNFCCCの議論の中に含まれるべき。

キーメッセージ

  • 長期的な目標を踏まえた上で、短期的アクションを行うことが必要不可欠
  • エネルギー管理システムにおける技術と比べ、エネルギー効率における技術はより幅広い分野に及ぶ
  • 地域市場におけるフィナンス的誘因性、潜在的輸入需要など技術移転は環境整備によって左右される
  • 低炭素技術革新のための公共政策は誘引として非常に効果的
  • 技術移転においては協力と競争間のテンションがあるが、最終的には常にグローバル技術市場で競争している企業が関連しているので不可避

イベント風景

報告者