京都議定書誕生の地からCOP21への提言:京都市の環境政策と国際環境協力プログラム(ラオス・ビエンチャン市等)の紹介
公益財団法人 地球環境センター(GEC)、京都市
イベント概要
京都議定書が生まれたCOP3ホスト都市・京都市は、日本の古都であり、歴史的文化資産を保全しながら、観光産業を含む経済発展を成し遂げ、さらに環境面でも先進的な取組みを行ってきた。このような京都市の環境政策は、海外都市に適用できるモデルとなり、積極的に国際間協力に取り組んでいる。
本イベントでは、京都市の環境政策と国際環境協力を紹介し、合わせてラオスの首都ビエンチャン市との都市間協力による低炭素歴史都市形成プログラムの進捗状況を発表する。このビエンチャン低炭素歴史都市形成プログラムでは、歴史的文化を有するビエンチャンにおいて、温室効果ガス(GHG)排出量の抑制・削減に資する基礎的要因を踏まえた低炭素歴史都市形成基本計画の開発を進め、その第一段階として、適切な固形廃棄物管理スキームと廃棄物由来のバイオガス・バイオマス利用プロジェクトについて調査を進めている。
プログラム
京都市の環境政策と国際環境協力プログラム
~京都議定書誕生の地からCOP21への提言~
セッションサマリー
京都議定書誕生の地である京都市は、1990年比で温室効果ガスを2020年までに25%、2030年まで40%削減する目標を掲げ、新「地球温暖化対策計画」では、目指すべき6つの社会像を掲げ、具体的な施策を示している。
社会像「人と公共交通優先の歩いて楽しいまち」では、人が主役の魅力あるまちづくりを推進するための憲章制定や総合交通戦略の策定を行った。「エネルギー創出・地域循環のまち」では、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの普及・拡大を進めている。「ごみの減量」では、市民1人当たりの家庭ごみ量は20大都市の中で最も少ない。
また、今後、急速に人口の都市化が加速し、環境面での都市の役割の重要性が高まることから、イクレイを通じて等により、国際連携、都市間連携を促進することが重要である。そのため、ラオス・ビエンチャン特別市と今年11月、パートナーシティ提携と環境分野における協力についての覚書を締結した。環境省のJCMにより、GECとともにビエンチャンの低炭素歴史都市形成支援調査を行っており、今年は、基本計画の策定支援と廃棄物管理分野を先行的に具体化する。このほか、中国・西安市、インド・バラナシ市等との連携も推進している。
京都市は、COP21開催50日前に、京都議定書の歴史的意義と理念を基に温暖化対策にこれまで以上に取り組むことを誓うとともに、パリ合意の実現を強く求める共同メッセージを発表した。
また、国立環境研究所の藤野純一主任研究員からは、京都市発祥の小学校対象の環境教育プログラム「こどもエコライフチャレンジ」のエッセンスが、京都市や気候ネットワークなどの関連主体の協力により、2013年からの3年間でイスカンダル・マレーシア地域のすべての小学校である223校に展開していった様子を発表した。
キーメッセージ
- 京都議定書誕生の地・京都市では、新「地球温暖化対策計画」に掲げる6つの社会像の実現を図ることにより、温室効果ガスの削減を進める。
- 今後、急速に人口の都市化が加速し、環境面での都市の役割の重要性が高まることから、ラオス・ビエンチャン特別市等との国際連携、都市間連携を促進することが重要である。
- また京都市がすべての公立小学校で実施しているこどもエコライフチャレンジがイスカンダル・マレーシア地域に展開されるなどの具体的な動きが今後さらに重要になる。
イベント風景
報告者
京都市環境政策局地球温暖化対策室担当部長 松浦卓也
国立環境研究所主任研究員 藤野純一