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EU for Talanoa開催、国際的な気候変動対策の強化に向けたEUの対話セッション

© European Union , 2018 / Photo: Lukasz Kobus

「タラノア対話」へのEUの貢献の一環として、開催された”EU for Talanoa”の概要をまとめました。

2018年6月13日(水)、ベルギー・ブリュッセルにおいて 「タラノア対話」へのEUの貢献の一環である “EU for Talanoa”が欧州委員会によって開催されました。"EU for Talanoa"は、温室効果ガスの削減に関するストーリー(経験やアイディア)を共有する促進的な対話の場として行われ、EU加盟国をはじめとし、都市・自治体、ビジネス、国際機関や途上国代表団などの幅広いアクターから約600名の参加を得ました。

今回のセッションを通じて、EUは国連が運営するタラノア対話プラットフォームへのインプットとして提出済みの野心的な気候変動政策と国際的なリーダーシップ新しいタブで開くをさらに推し進め、EU内外のすべての国々がパリ協定に定める目標達成に向けた具体的な進捗をもとに結束する必要があることを強調しました。

"EU for Talanoa"は、3つの問いかけである「我々はどこにいるのか?」「どこへ行きたいのか?」「どのように行くのか?」を基に構成され、政府主体のみでなく、企業や自治体、市民団体といった非政府主体を含むさまざまなステークホルダーが参画し、それぞれの真摯な取り組みや課題が語られました。今回の"EU for Talanoa"をタラノア対話の好事例とし、12月にポーランド・カトヴィツェで開催されるCOP24に向けて、世界の多数の国々が市民社会を巻き込み、意欲向上につながる建設的な対話の場をつくっていくことが期待されています。

第1セッション「我々はどこにいるのか?」

オープニングセッションでは、EUの気候変動対策の実施状況について触れられ、アルバルド・マルティネス氏(欧州ユースフォーラム)、ピカール氏(ソーラー・インパルス)、アリアス・カニエテ氏(気候変動・エネルギー担当欧州委員)からは、パリ協定発足後のEUが果たすべき先導的役割とともに、既存の法規制や技術を基盤とした研究開発の重要性が語られました。続いて、IKEAのCEOブロディーン氏、フランスのナント・メトロポール副代表のレイノス氏、グリーンピース・インターナショナルのモーガン氏から、実社会における具体的なストーリーが共有され、自治体をはじめ、企業、市民団体といった非政府主体による各国の自主削減目標(Nationally Determined Contributions: NDC) への貢献に焦点があたりました。

第2セッション「どこへ行きたいか?」

目指すべき将来のビジョンとその課題について語られた第2セッションでは、マチュルビシュス氏(欧州経済社会評議会)の進行のもと、国連環境計画のノローニャ氏、国際エネルギー機関のターク氏の基調講演が行われました。そのなかで、中期・長期的な排出削減目標の達成のため、ビジネスや市民セクターを早期に結集させる必要性があり、長期ビジョンの策定と戦略の重要性が話されました。なかでも、世界規模での気候変動対策に必要な民間投資を促すために、投資家や消費者には投資のインセンティブとなる政策や法規制などの国際的な環境整備が実社会では不可欠との声があがりました。
また、アルゼンチンや南アフリカなど途上国代表等を含む参加者を交えたパネルのキーメッセージのひとつとして、「公正な移行(Just Transition)」についても着目し、脱炭素社会の実現のために必要とされる社会変革にともない、失業や雇用問題など、実際に現場で起こり得る課題にも各主体が解決に向けた施策を実施していく必要があることが共有されました。これに関連して、EU全体では世界に占める現在の排出量割合が8%であるものの、2030年には5%となることも見込まれており、ドラスティックな排出削減目標の達成にはEUの粋を超えた世界規模での取り組みが大切となることも言及されています。

第3セッション「どうやって行くのか?」

オープニングおよび第2セッション で共有されてきたストーリーを受けて、第3セッションでは、欧州地域委員会のマルックラ氏が進行し、現状をふまえ、脱炭素社会の実現に向けた将来のビジョンやプロセスを明確にするための道筋について広く話されました。具体的な事例として、ブランディス氏(ドイツ産業連合)からは長期ビジョンにもとづくドイツ工業連盟による未来予測レポート、トリオ氏(ヨーロッパ気候行動ネットワーク)からはEUの政策決定プロセスにNGOが参画する役割、ダムガード氏(気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体(IIGCC))からは持続可能な投資環境を整えるための課題や今後のステップが紹介されました。
ほかにも、ビジネス・市民セクターから4つの事例*が紹介され、気候変動対策に資する法規制や投資環境の整備等が国レベル、世界レベルで行われることの重要性とともに、非政府主体のアクターがボトムアップ・アプローチで課題解決と目標達成に向けた歩を進めることの大切さが改めて強調されました。

*

  1. 1『気候変動に関する企業のビジョン』デ・ミエラ氏(多国籍電力事業者イベルドローラ 気候変動部門ディレクター)
  2. 2『変化の早い消費財の持続可能な未来の姿』ホフマン氏(エンジニアリングコンサルタントEziserv)
  3. 3『世界一汚染された都市におけるサステイナブルな都市交通』ピアース・メシック氏(Three Wheels United BV)
  4. 4『森林保全を通じた気候緩和』ゴーティエ氏(コンサベーション・インターナショナル・ヨーロッパ)

タラノア対話政治フェーズに向けて

クロージングセッションでは、COP24議長に就任予定のクリティカ氏(ポーランドエネルギー副大臣)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長のエスピノサ氏、COP23議長国フィジーの大使サラン氏に続き、ペトリチオーネ氏(欧州委員会気候行動総局長)から、年間のタラノア対話が結集されるCOP24での政治フェーズに向けた期待が語られました。さまざまなアクターを交えた幅広いストーリーの共有による共通認識と相互理解をふまえ、COP24でのパリ協定のルールブック策定は脱炭素化に向けた社会転換への重要な足掛かりとなることが述べられ、セッションが締めくくられました。

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