Monday
17:00 - 18:30
タイトル | アジア太平洋地域における気候脆弱性リスクーリスクの認識と今後の課題 |
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イベント概要 | 外務省より今年9月に公表された「Analysis and Proposal of Foreign Policies Regarding the Impact of Climate Change on Fragility in the Asia-Pacific Region -With focus on natural disasters in the Region -」報告書の概要を説明し、アジア太平洋地域が直面する多様かつ深刻になりうるリスクを同定しつつ、今後の課題を検討する。 |
キーワード | Climate Fragility Risk, Asia-Pacific Region, social-economic |
登壇者 |
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主催者 | 国立環境研究所(NIES)/外務省 |
開催の挨拶(5分)
講演1 (15分)
気候変動と安全保障 - 考える上での基礎
講演2 (20分)
アジア太平洋地域における気候脆弱性リスクに関する報告書の概要
講演3 (15分)
被害の道筋:アジアにおける気候脆弱性リスク研究
コメント (15分)
質疑応答 (20分)
本イベントの目的は、今年9月に外務省より公表された報告書の概要を説明し、アジア太 平洋地域が直面する多様かつ深刻になりうるリスクを同定しつつ、今後の課題を検討する ことだった。この目的を踏まえ、国立環境研究所の亀山より、気候変動とセキュリティに 関する研究動向の概要を紹介し、次に、外務省野口より、報告書の概要を説明した。また、 本問題に関して今までに数多くの研究プロジェクトを担ってきた Busby 教授より、自身の 研究成果の一端が紹介された。特に南アジアを対象地域として、気候変動影響と社会制度 (ガバナンス)を重ねることで脆弱性を示そうとする点が、外務省報告書と同じスタンス に立っている観点として理解された。
上記の3報告に対して、ソロモン諸島・カウヒロナ氏とマレーシア・チヤウ教授より、本 報告書の意義を高く評価したうえで、現地の情報は現地の専門家にインタビューすること でより正確な知見が得られることや、マレーシアなど今まで甚大な気候変動影響を受けて いない国も対象に研究して欲しい等のコメントがあった。
また、この報告書は、外交政策 に対する提言なのか、あるいは気候変動影響側が外交を活用すべきということなのかという質問があった。 また、フロアからも多くのコメントや質問が出た。環境難民や、今回対象としなかった干 ばつ等の気候変動影響を考慮すべきではないかという指摘、今回の日本の発信を踏まえ G 7がどのように動こうとしているのか、といった質問が提起された。 これらの指摘事項を踏まえ、今後もさらに活動を継続していくことが確認された。
今日まで、気候変動リスクに関する研究の多くは、アフリカや中東を対象に、欧米研究者 により行われており、アジアを対象としたものは少なかった。しかし、実際には、人口密 度の高さからも、経済活動の集中度合の観点からも、アジア地域で今後生じる気候変動リ スクについてより多くの検討がなされるべきであるという重要性が再確認された。傍聴者 の関心も高く、本報告書を第1歩とし、今後さらなる検討が望まれる。
国立研究開発法人国立環境研究所 亀山康子
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